後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第299回 われら日本人の長所と短所
2014-11-04
日本人はたおやめ(女臭い)社会の住人で、ますらお(男臭い)社会の住人ではありません。
『文明の衝突』のハンチントン教授によると、男性より女性は保守的かつ変化を厭います。
母系文化の日本はこまやかで謙虚で情緒的で優しく、時としてややこしく生きています。
日本女性は世界一九五ヵ国一の長寿(平均八十七歳)を誇っています。
男性の平均寿命は八十歳だから七歳もの開きがあります。
それだけ女性的で保守化が進んでいる社会ともいえるでしょう。
若者の多い社会は変革を好み、女性と老人の多い保守日本では変革はとかく警戒されます。
保守の風土は伝統を尊ぶ心を育てます。
空海の教えを一○○%信じる『師承』的精神がとりわけ伝統芸術と伝統武道に顕著です。
伝統道を至高とし創意を嫌い後輩の批判・疑問を封じ、問答無用・いわれるままを是とします。
世襲の家元、師匠、上司、年長者、高段者等権威に従わされる社会です。幾多の我慢を重ね、型を真似び、型に親しむ克己の人の天下です。
型を究める修行の過程が人間を作るとします。習練の尊重です。
しかし一通り型を習得した修行者の多くに返って、寛容の精神が欠けています。
後輩の所作をみて鬼の首でも取ったように叫びます。『あ、間違えた』、『また、間違えた』
お追従を拒む未熟者を憎み、小さなミスを衝いてほめません。
日本の世俗ルールは『和』と『長幼の序』。
一たび目立つとグループの『和』を乱すとドツかれ嫉妬されます。
仲間社会の目の仇となり孤立させられます。先輩、同輩は不機嫌になり、いじめに出ます。
『出るクイは打たれる』しかありません。
日本人は小さな世界に偉大で、大きな世界に盲目です。こだわりの所作や職人技に長じていても広い世界を俯瞰する視野に欠けています。
優しくてこまやかで謙虚、偏見に満ち陰湿でいじめと嫉妬の心を燃やしています。
われら日本人の心中に抜きがたい長所と短所が混在しています。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。