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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第300回 日本の匠とドイツのマイスター 

2014-11-12

 急に割り込む車がホンダだったりニッサンだったりすると、日本車を評価してくれた人だから、と急に怒気がなえてやさしい気持ちになることはありませんか。
 日本や自分のことで外国人に評価されると妙に心がはずみます。
 米国コンシューマー・リポートの二○一四自動車信頼度調査でレクサスとトヨタブランドが二年続きの一、二位を占めました。
 何だかよい気分です。
 対象二十八ブランドのうち最近十二ヵ月中に買った車についてアンケート調査を実施、順位を決めました。
 ベンツ、BMWを抑えての一位レクサスは博多から車で一時間の宮田工場で造られています。
 レクサスの九割、年間四十三万台がここで造られ磨かれ、世界市場に運ばれています。
 七千七百人の従業員と二十二人のレクサス技能専門家、『匠』が働いています。
 技術達人の『匠』はトヨタの至宝で、『乾いたタオルをしぼる』ように車を造ります。
 ほかに新車走行試験を担う『匠』も三人います。自ら運転し手の味を整える仕事師です。
 ドイツ人のなかに『大麦一○○%でないとビールじゃない』という人がいます。
 『デュラム小麦でないとパスタでない』というイタリア人もいます。
 しかし日本の『匠』ほど仔細にこだわり、手の感触を作品に残そうと努める人種がどこにいるでしょうか。
 車造りはむろん上手とみたら寿司匠、ラーメン匠などと崇めるのは日本人ならではの気風です。
 技術職人を尊ぶ点で、ドイツ人は日本人と似ています。
 日本に『匠』がいるように、手づくりマイスターと工業マイスターがいます。
 深い技術をベンツ、BMWに注ぎ込むのは工業マイスター。
 職業学校で専門知識と技術を学び熟練工試験とマイスター試験に合格、経験を積んだ者に与えられる称号、それがマイスターです。
 レクサス、ベンツ、BMW三つ巴の世界の高級車市場。
 舞台裏では顧客の信頼を得ようと、『匠』とマイスターの熾烈な競争が展開されています。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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jjgoto@sbcglobal.net

後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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