今月の庭仕事
Lesson129「剪定と病害虫」について②
2014-12-09
私のカスタマーの落葉果樹は、まだ葉が青々としてるので剪定を始めることができません。少しだけ黄色くなり始めたところでしょうか。スロープに植えられているせいか、水が浸み込みにくいのだと思います。このような場合、木の前の方に盛り土をして幹の周りの平らな部分の面積を増やすと、水が浸み込みやすくなります。
Lesson126では剪定が終わり、切り口を害虫被害から防護するために、プルニングシールと呼ばれる防護剤を切り口に塗るというところまでお話ししました。枝を切る場合、バラの剪定と同じ要領ですれば問題ないでしょう。枝についている芽、あるいは葉ギリギリのところで切ります。芽と芽、葉と葉の中間あたりで切ってしまうと、切り口から芽あるいは葉までの部分が枯れてしまいます。
幹より出ている大枝を切らなければならない場合は、十分注意してください。幹とギリギリ平行に切ってしまうと、木自身の切り口を修復する力を失わせてしまいます。剪定のサイトや本などで、どこから切るのかを確認してから切り落としてください。
「剪定を終えた状態」とは、木に付着している菌や寄生している害虫の数が最小の状態をいいます。葉がないので葉の裏側の病害虫のことを考える必要がない病害虫防除に最適な時期といえます。病害虫防除とは、病原排除が目的です。越冬伝染病、越冬害虫の被害を春に生じさせないことが最終目標です。
では、「いつ薬剤を散布をするのか」ですが、最低でも2回は必要です。剪定後に1回目の散布をし、2回目は花芽が膨らみ始める頃、開花直前となります。開花中は、蜂がくるので散布できません。
次に気になるのが、「何を散布したらいいのか」です。お店のガーデンコーナーにたくさんの薬剤が陳列されていますね。購買力促進のため、コンテナに魅力的な絵が描かれていて、目が留まるようになっていますよね。しかし重要なのは、「その薬剤が、自分の家の木の病原を排除することができるのか」です!
分からない場合は、店員さんに、「●●●●フルーツツリーにドーマントスプレーをしたい」と伝えてください。きっと最適な薬剤を選んでくれるはずです。散布する時の注意点は、Lesson131でお話します。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟メンバーの新垣安徳さん。自分の失敗例や成功例など豊富な経験を元にコラムを執筆。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。