日刊サンクラシファイド

ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など

日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第303回 時代劇にみる殺陣師の生き様

2014-12-03

 『可愛そうだた、惚れたってことよ』
 漱石の小説『三四郎』に出てくるセリフだ。
 『斬られてばかりで可愛そう』。妻がこう呟くのは俳優・福本清三の愚直さだ。漱石流にいえば彼女は福本さんに惚れたってこと。
 『五万回斬られた男』として著名な福本さんはトム・クルーズの『ラストサムライ』でも斬られ役で登場、例の海老ぞりを披露してみせた。
 驚きの知らせが八月舞い込んだ。
 モントリオールのファンタジア国際映画祭で最優秀作品賞に『太秦ライムライト』(落合賢監督)、主演男優賞に福本さんが選ばれたのだ。
 LAのアカデミー賞会場でプレミア上映が行われた。
 『日本人の心情をよく描いてくれた』と称賛の声が上がった。
 上映後のQ&Aで着物姿の弥夏(ひろか)さんが『日本の本質を描いた勇気と福本さんの生き様に涙で声も出なかった』と声を震わせた。
 MTVで視聴率一の『アメリカ・ベストダンス・クルー』で初の女性チャンピオンとなり、オプラ・ウインフリーショーにも出演した人だ。
 レセプション会場に多数の人が押しかけた。
 映画スターの夢を追う美男美女も大勢来た。
 『自分が主役だなんてとんでもない』――香美山役の福本さんはじめさつき役の山本千尋さん(世界ジュニア武術選手権金メダル獲得)、監督二作目で国際評価を得た落合監督らが観客の輪に溶け込んだ。
★ ★
 『太秦ライムライト』はプロダクション『イレブンアーツ』の企画、立案で成立した。
 コウ・モリ社長が落合監督に話を持ち込んだ。
 シネマトグラファー、C・フライリク氏との撮影上の日米文化摩擦を克服、結実した侍映画だ。 時代劇は急激に廃れている。
 太秦撮影所の第六撮影館は久しぶりに活気を取り戻した。殺陣師に殺陣の仕事が来たのだ。
 東映剣会OB、峰蘭太郎さんの演技がとりわけ光っていた。
 さつきに斬られ海老ぞりの死を遂げる香美山。死体に降りしきる桜のラストシーンが日本人の死生観を物語っていた。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
Facebook   Twieet

後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

後藤さんに聞きたい事、取り上げてもらいたい事、質問等はこちら

jjgoto@sbcglobal.net

後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




[ 人気の記事 ]

第230回 碧い目が見た雅子妃の嘘と真

第249回 尻軽女はどこの国に多いか

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 後編

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー① アメリカについてよく知ることが大切

第265回 天才と秀才、凡才の違い

第208回 日本と北部中国に多い下戸

第227回 グレンデールに抗議しよう

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 前編

第173回 あなたの顔の好みは?

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー③ アメリカについてよく知ることが大切



最新のクラシファイド 定期購読
JFC International Inc Cosmos Grace 新撰組10月B Parexel pspinc ロサンゼルスのWEB制作(デザイン/開発/SEO)はSOTO-MEDIA 撃退コロナ音頭 サボテンブラザーズ 





ページトップへ