今月の庭仕事
Lesson130「宿り木」をドアの上に飾ると…
2014-12-24
「宿り木」といわれても、普段は注意を払わないので、どこに生えているのかさえ分からないのが普通です。けれど、その止まり木が活躍するのがクリスマスのシーズンです。
宿り木は、名前の通り他の木に取り付いて、そこから養分を吸いながら生存する“ちと不届きな野郎」ですが、そこは神様のなすこと、何かの意味があるはずなので、その詮索はできません。
最近、葉っぱのなくなった木々を見上げてみると、ときどき緑の塊を見つけることがあります。家主さんは落葉樹でも、宿り木は葉っぱを落とさないのでとても目立ちます。それらを見て、よく浮かぶ質問が「どうしてあんな所に生えることができるのだろう」です。
それを成し遂げるのには、小鳥たちとその宿り木の共同作業にありました。 まず宿り木の実を小鳥たちが食べると、消化されない種が出てきます。しかし、その“落とし物”はドロドロしているので、幹から滑べり落ちることはありません。私たちが想像する「根」とは違う特殊な構造を持った「根」が、樹皮を通して水分と養分のある木の中まで伸びます。ここまで来ると、もう“家主さん”が亡くならない限り生存は保証されます。羨ましい限りです。
さて、なぜその宿り木が今ごろの季節になると活躍するのかというと、人間のずる賢い考えにありました。
ここアメリカでは、ドアの上に宿り木を飾っておいて知らずにその下を通って来た人にはキスしてもいいという習慣があります。残念ながらの私は未だその恩恵に預かったこともないし、授けたこともありません。もしその恩恵に浴したいという方は、高い木に上ってそれを取ってきて、ドアの上に吊るしてみてはいかがでしょう。高所恐怖症の方には店で売られているものもありますよ。しかし、その恩恵を滅多やたらにというわけにもいかないので十分な注意は必要でしょう。
ポインセチアのことを書こうと思って、この回を書き始めたのですが、気がつくとスペースがなくなりました…。これと同じで、今年もあと残す日数も少なくなリました。私のとりとめのない独り言みたいな文をお読みくださり、ありがとうございました。皆様のご健康とご多幸をお祈りします。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。