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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第305回 豪州の投票率は九五%前後

2014-12-17

与党の自公が衆議院選挙で大勝した。
自民二九一議席、公明三五議席、合計三二六議席、衆議院議席の三分の二を上回った・・。
日本列島の各地に雪が降った。雨も降った。寒気も容赦しなかった。人々は投票所に行くのをためらった。
「ウチでテレビでも観よう」となった。おかげで投票率は戦後最低の五二・六六%。
○五年の郵政民営化選挙は六七・五一%、○九年の政権交代選挙は六九・二八%だった。
一二年の政権奪還選挙は五九・三二%で戦後最低といわれた。今回はこれを六・六六%下回って最低記録を塗り替えた。
選挙に行くのは国民の権利であるが、義務でもある。
選挙に行かないのは現状に満足していることと同じだ。選挙に行かなければ何の要求も通らない。どんな変革も期待できない。
投票を義務づけて投票に行かない場合に罰則規定で罰する国が世界に二十四カ国ある。
投票を義務付けながら罰則規定を設けていない国も七カ国ある。
選挙に行かない者に罰金を科す国もある。
豪州の罰金は二○豪ドル、裁判所で争えば五○豪ドルと裁判費用が請求されるという。
選挙に行かない人にベルギーも手厳しい。
初回の罰金は五~一○ユーロ、二回以降は一○~二五ユーロ。十五年間に四回棄権したら十年間選挙資格を停止する。
アルゼンチンは棄権者に一○~ニ○ペソの罰金を科す。そのうえ公職に三年間就けなくする。
 ギリシャは監獄一ヵ月以下に処す。
七一歳以上の者、病弱者、投票所から二百メートル以上離れている者の投票は任意とする。
シンガポールは棄権者を選挙人名簿から外す。
一九二四年に『義務投票制』を採用して以来、豪州は選挙人名簿登録者の投票率が九五%前後と驚異の数字を記録している。
東北大学の吉田浩教授によると、二○~四九歳の投票率が一%低下するたび若者世代一人当たり十三万円損するという。
民意をすくう民主国家の手段として日本政府に『義務投票制』の採用を強く求める。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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