Alice in WINEderland
vol70 New York Wine
2015-03-04
アメリカのワインと言えばカリフォルニアという印象が強いが、実は、ニューヨークはカリフォルニア、ワシントンに次いで国内第3位の葡萄生産量を誇り、州内には2015年現在373社のワイナリーが存在する。更に、アメリカで初めて政府登録をしたワイナリー(bonded winery)はニューヨークにあり、ワイン作りの歴史も古くは17世紀まで遡る。
優良な葡萄畑は適度な湿度を提供する湖や川に集まる傾向にあり、主要なAVA(American Viticultural Areas)には、レイクエリー、ハドソンリバー、フィンガーレイクス、ロングアイランドがある。品種としては、白はリースリング、セイベルブラン、赤はピノノワール、カベルネフランなどが有名である。2011年のFine Winery Lawの制定により、ワイナリーにとってワインの販売やテイスティングルームの設置がより容易になり、新たなワインブームを引き起こすきっかけとなった。
ニューヨークの街中には沢山のワインバーが存在し、特にリースリングをwine on tapで提供するところが多く見られた。その中でも特に注目したいのは、ワインボトルではなく、注ぎ口のある大型のスチール缶(19500ml)にワインを詰めたGotham Project。ローカルの醸造家らが協力して立てたブランドで、白・赤の両品種、幅広いラインアップを展開している。空気に触れる面を無くすことで酸化によるワインの劣化を防ぎ、消費者は品質管理が整った新鮮なワインを気軽にグラスで愉しめるというものである。こだわりの美術品が飾られる人気のブティック系ホテルに併設するJohn Dory Oyster Barでも、同リースリングが置かれており、ドライですっきりとした味わいで、アペリティフにも食中ワインとしても楽しめるスタイルであった。その他、タイムズ誌やヴォーグにも取り上げられた、話題のユーロ・ラテンフュージョンが愉しめるビストロ、Comodoでは、ボルドー系品種を使用したロゼWolffer Estate Sagaponack Rose がグラスリスト入りしており、スパイスの効いたお料理とも素敵なペアリングを奏でていた。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。