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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第323回 中韓に指図される謂れはない

2015-04-30

個人の口喧嘩の場合。
『ルール無視のお前なんか消えうせろ』などと言う。
しかし国段階でA国がB国を咎める段になるとスルリといかない。内政干渉か外交クレームかで筋も違ってくる。
たとえば中国が国内法で大気汚染の対策を進めていたとする。
思い余った日本が『それでは何も改善されず日本国民に汚染が及ぶ』と言ったとする。
自国民の健康を思っての発言だから内政干渉ではなく外交クレームとみなされる。
他方、汚染物を排出する企業を営業停止にできる国内法を中国が持っていたとする。
『汚染大氣を排出しているのに営業停止にしていないじゃないか』と日本が責めたとする。
これは中国に対する日本の内政干渉に当たる。中国の行政をもろに批判しているからだ。

首相、閣僚の靖国参拝に対する日中韓の見解は分かれている。日本は中韓を内政干渉と言う。
日本の戦争被害国、中韓はA級戦犯を合祀する靖国を首相らが参拝すれば国民感情を傷つける、許されないと言う。
むろん外交クレームであり、内政干渉に当たらないとする。最もな主張にみえる。
しかし東京裁判を持ち出す法的資格が中韓にあるのかどうか。
東京裁判の判決に日本が従うと謳ったのはSF平和条約だ。この条約に署名、批准していない国には『いかなる権利、権原または利益も与えない』と書かれている。
日本を含む四十九ヵ国が署名、批准しているが、中韓の名前はない。
ここに署名、批准していない国によって日本の利益が『減損され、害されることはない』とまで書いてある。
日中は七二年に共同声明、七八年に日中平和条約を結んだ。条約の第三条は平等、互恵ならびに内政に関する相互不干渉の原則を謳っている。
SF平和条約、日中平和条約のいずれをみても、A級戦犯について日本に要求、干渉する法的権利は中韓にはない。
靖国参拝の是非は兎も角、日本が中韓に指図される謂れはない。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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