今月の庭仕事
Lesson139
2015-04-28
カリフォルニアでは雨がほとんど降らないので植物の要求を満たすことができません。そこで人工的に水をあげて、土壌中の栄養が足りない場合は施肥をやり、人為的なことをして野菜や花木を育てています。おまけに私たちは少しでも良い色、形、味を創り出すことに日夜努力しています。いろいろな要因が影響し合って良いものができるのですが…今回は、植え付ける前に施す基肥の問題だけをお話しましょう。
春になると家庭菜園でもいろいろなものが植え付けられます。その時に問題になるのが、緩効性または遅効性の肥料や土壌改良材の使い方です。大まかに言うと、化学肥料と有機肥料です(厳密ではありませんが、堆肥も含みます)。化学肥料は効き目が早くその確実性が高いのに対して、有機肥料は効き目を発揮するまで時間がかかり、その後、細く長く効果があります。
お店で販売されているもので、N、P、 K の3つの数字が袋/箱/筒に表記されているものは化学肥料です。化学肥料には、養分が早く溶け出してしまわないように緩効性にする工夫がなされていて、市場にはさまざまなものが出回っています。
一番よく目につくのもので、栄養分が長期間にわたって水で分解され、一定して栄養分が供給される OsumocoteやDynamite (登録商品名)があります。これらの短所として、栄養分が一定の濃度と速度で放出されるため、一定の時期に多くの栄養分を必要とする野菜の実がなる時期、白菜やキャベツなどの野菜では葉を巻く時期には、別途に追肥が必要かもしれません。日本では栄養分の放出が時間的にコントロールされて、植物の生育段階で必要な栄養分が供給され、追肥の手間が省けるものもあるようです。
一般に暖効性の有機物で肥料的に扱われる有機物は、ボンミール、ブラッドミールやコットンシードミール、チキンマニューアーなどです。これらが緩効性化学肥料と違うところは、化学肥料が記載されている栄養分だけを含んでいるのに対して、有機物は栄養分の濃度が低いので肥料焼けなどの失敗が少ないこと、微量成分なども含めて自然の土壌の栄養分体系に近いということです。ただし有機物であるが故に、微生物がそれらを分解して植物に有効栄養分になるのには、永続した適当な水分や温度の環境維持が必要です。
このことは、ビタミン剤を取るより自然の食べ物でビタミンを取ったほうが良いということに似ています。このような違いをはっきり認識しながら、植物を栽培すると良いものができるでしょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。