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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第324回 総理の來羅と父晋太郎氏のこと

2015-05-06


堀之内総領事の招待で一日の安倍総理との昼餐会に臨んだ。
米議会上下両院合同会議のスピーチは英語だった。
当地のスピーチは通訳付日本語で、USCで二年学んだLAは第二の故郷と懐かしがった。
総理と会釈を交わし特別補佐役の山本一太議員とも話をした。
総理とはやや疎遠で年齢差もある。かつて「総理に最も近い」といわれた父親の安倍晋太郎氏につい思いがいく。
一九八○年代の政界は俗に「安竹宮」時代と呼ばれていた。
安倍党総務会長、竹下党幹事長、宮沢大蔵大臣の実力が拮抗、各々総裁の座を伺っていた。
多数の議員に推される派閥領袖として総裁レースを降りるわけにいかなかった。
話し合いで後継者を決めようとしたが、不調に終わった。総裁選で決めようともしたが、「党友間にシコリが残る」と退けられた。
当時の中曽根総理は党内に影響力を残して辞めたいと考えていた。
三者のうちで最も適任と思う人を中曽根氏が指名、第七四代総理に据えることになった。世に中曽根裁定と言われている。
結果、竹下氏が指名を受け総理に就いた。
後継者の指名準備は極秘裏に進められた。中曽根氏の腹を読むのは至難の業だった。
私の勤めていた時事通信社が「安倍総理誕生」と誤報を打って話題になったほどだ。
八八年六月に発覚したリクルート事件は有力議員の人生を一変させた。安倍、宮沢各氏も例外ではなかった。
リクルートの未公開株を譲り受けたといわれ、総裁レースから退かねばならなくなった。
安倍氏の悲運を尻目に竹下後の総裁ポストは急展開、短命の宇野宗佑氏を経て海部俊樹氏に転がり込んだ。
余談だが、長男の海部正樹氏は元LA領事、優子夫人と当地に住みアニメ界で活躍している。
通産相時代の中曽根氏を二年担当したが、同氏もリクルート事件に関与、一時自民党を離党した。
政界の風見鶏と言われた中曽根総理の裁定がもし父晋太郎氏に来ていたら、息子の行く末にも影響していたはずだ。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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