キム・ホンソンの三味一体
Vol46 ビフォーアフター
2015-06-25
先日、現在4歳と11ヶ月の娘から父の日のカードをもらいました。幼稚園の先生のアイデアと思われる、色んな工具でデコレートされた如何にもアメリカ人のお父さん向けのかわいらしい作品でした。そういえば娘が生まれからもう4度目の父の日です。今となっては、娘が生まれる前と後では、ものの見方や考え方もすっかり変わったような気がします。
例えば食事では、食の細い娘でもよく食べられてしかも少しでも栄養価のあるものを中心に食べるようになりました。ミキサーで細かくした野菜たっぷりのカレーやハンバーグ(これは欲張って少しでも野菜の分量を入れ過ぎると気づかれてしまうので要注意)です。また鶏肉が好きなのでお肉は鶏中心になりました。(たまにスーパーで美味しそうな真っ赤なビーフを見ると血が騒ぎます。)
そして、言葉を意識して気をつけて話すようになりました。やはり英語の環境が圧倒的に長いので、日本語はかなり遅れている気がします。ですから特に分かってほしいことがある時は、できるだけ簡単な言葉を使って分かりやすく言った後、彼女自身の言葉でもう一度言わせるようにしています。(これもあまりやり過ぎると「パパもういい」と言われてしまうので加減が大事です。)
その他にも色々ありますが、やはり一番の違いは、ビフォーに比べてアフターの方がもっと凹凸がくっきりした濃い人生になったことです。子供のことになると常に何かと心配でおどおどしてしまう反面、その他のことに関しては(例えば人の目や評判)、意外とあまり気にならなくなりました。
また子供の世話を優先する結果、常に満たされない自分の欲求(たとえば「自分の時間がほしい、時間に追われない生活がしたい、ふらっと一人旅に出てみたい」等など)を抱えながらも、ある瞬間、心がぱっと明るくなって満たされていくのを感じることが多々あります。先日、双子を寝かしつけて久々に娘と私達だけでおしゃべりをしていた時のことです。双子が生まれて以来あまり娘にかまってあげられないことをいつも気にしている家内が娘に、「いつもいっぱい遊んであげられなくてごめんね。でもあなたは私の初めての赤ちゃん。大好きよ。」と言いました。それを聞いた娘が少し照れながら「ママはわたしのはじめてのおとな。」心がぱっと明るくなって満たされて行く瞬間でした。大変なこともあるけれどやっぱりビフォーには戻れません。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。