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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第331回 スープのチップに二○○○㌦

2015-06-25

ホテルのベルマン、タクシードライバー、レストランスタッフ等のサービスを受けたら、チップを彼らに渡すのは米国人の常識だ。
荷物の運搬で一個につき一、二㌦、ルームサービスを頼んだら料金の一○~一五%、レストランの席を立つ前に請求額プラス請求額の一○~一五㌦をチップで払うのが慣習になっている。

首都ワシントンのレストランで九三㌦二七㌣の食事をした常連客が二千㌦ものチップを払って話題になっている。
常連客の大好物はガンボスープ。ガンボスープを出すとき店は電子メールで彼に知らせることにしている。
知らせを受けた常連客は当日、連れ一人とともに来店し、二人分のスープを注文した。
レストランのオーナー、ナーデリさんは支払いレシートを見て何かの間違いだと思った。
チップの欄に二千㌦と書き込んであった。しかし間違いでないことがすぐにわかった。
よく見るとチップの配分まで書いてあった。
シェフのターナーさんに一千㌦、オーナーのナーデリさんとバーテンダーに五百㌦ずつ与えるというのだ。夢のような現実だった。
常連客と連れは大喜びで帰っていったそうだ。

「マスターカード」の調べによると、チップを渡す比率の最も高い国民はタイ人で、彼らの八九%が快く払うという。
その次はフィリピン人の七五%、さらに香港人の七一%、インド人六一%、マレーシア人四○%、インドネシア人四○%の順。
チップ比率一○%台は台湾人の一七%、韓国人の一三%。
わが日本人の気前のよさを自慢したいと思った。そして驚いた。
チップを払う日本人の比率はなんと三%と知った。百人中九十七人がチップを払わない国民という現実を知らされた。
もっとも豪州やニュージーランドにはチップを払う習慣がない。「ないから払わない」と彼らは澄ましている。
チップの小銭は必要か必要でないか。それは君の生き方の問題だ。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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