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コラム

苦楽歳時記
vol160 「きずし」と「しめさば」と「バッテラ」

2015-08-13

 居酒屋で、「きずし」と「しめさば」の違いを訊いてみるがよい。あるいは寿司店で、「きずし」と「しめさば」の握りの違いを伺うのもよい。

 西日本では「きずし」と呼ぶが、東日本では「しめさば」という。そこまでは大概の人がわかっている。

 西日本で修業された職人が作る「きずし」は、酢の浸かりが深くそのまま賞味することができる。一方の、東日本の「しめさば」は浸りが浅く、わさび醤油かショウガ醤油で食する。

 握り寿司、バッテラで食べる折りには、「東日本」の酢に浸りが浅い方がお薦めだ。わさび醤油をつけられるから味わい深い。

 ヴェンチュラ通り『スシ・スポット』のオーナーシェフ、タクさんの握る「しめさば」の握り寿司は、この上なく妙味だ。十四、五年くらい無沙汰しているので、タクさんの握る旨味が恋しくなる。

 当時のお通しは、珍味佳肴(かこう)な「氷頭なます」が提供されていた。北海道、東北北部に伝わる郷土料理で、「氷頭」とは、鮭の鼻先の軟骨部分を指す。

 「バッテラ」といえば、モントーレパークの『太平』だ。病気をする以前には、二週に一、二度、通っていた。帰り際にバッテラ二、三本をテイクアウトするのが慣わしであった。

 『太平』の「バッテラ」は、「きずし」と「しめさば」の混同で、白板昆布も上ものを使っていた。オーナーシェフ、リュウさんの気根がこもった逸品。

 数年前から『太平』の「バッテラ」は幻となってしまった。これからは、『太平』の「バッテラ」が食せないと焦ったが、捨てる神があるなら何とやらで、知人がガーデナの『スシ・アイランド』を教えてくれた。

 家族経営ながら、「バッテラ」の味は佳味で、職人の業を感じさせてくれる美しい一品である。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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