今月の庭仕事
Lesson 144
2015-07-22
まだまだ日照りが続きそうですが、私の短い米国での生活でも過去に何回かの水不足を経験しています。この豊かな国でこのような事態に発展すること自体が不思議です。今までに危機らしきものはありましたが、なんとか自然の恵みで乗り越えてきました。そのためか、喉元過ぎれば熱さ忘れるで、以前と同様に水の浪費は留まることをしりません。家々や教会、公園などの広い緑の芝生、洗車、ドライブウエイーの水洗いなど使い放題の感じでした。
しかし、ここにきて初めてその深刻さに右往左往の体で、各地の自治体や個人がようやく本気でその対策を考えています。おそらく皆様も周りが乾いてきたなと思うほどになっていることでしょう。
さてこの干ばつの状態から新しい発見がもたらされるかもしれません。先に触れた緑の芝生ですが、よく見ると潅水を減らされて最初にげんなりするのが、いつもこまめにたくさんの水をもらってる芝生です。水分が表面近くにあるので根も深く伸びません。
一方、そんなに綺麗な緑ではないけど、たまに水をもらう芝生のほうが元気です。その根が水を求めて深く伸びるからです。そして物理的な状態で根が下に伸びるより仕方がない場合は、もっと元気に生きのびていきます。そのいい例が、コンクリートの割れ目や、石にくっついて根をその下に伸ばして生える草です。そして、性質的にもっと強いのが、乾燥に強いバーミューダグラスなどです。
では、このような観察はどのような形で家庭菜園に活かせるのでしょうか。
最初に水を頻繁にあげると根が浅くなる傾向ですが、野菜の場合、大部分のものは根が長く伸びないし、育つ期間も短いので、落ち葉などを敷いて水分の発散を抑えるしかないでしょう。
次の物理的な障害で根が深くなるようにするには、野菜が植えられてる鉢の底を外して土中に埋めたり、または底にたくさんの穴を開け、鉢に接して通気用のパイプを鉢より少し深く立てることでその状態を作れます。鉢の下には水がはけるような工夫をしてください。
最後の性質的な強さですが、これは野菜の原産地を見れば大方の検討はつきます。例えば、インドから来た里芋などは乾燥がひどい所に植えると苦労します。
このように干ばつのでも少しは学べるところがあることを意識しましょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。