後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第344回 サメもライオンも人間より安全
2015-10-01
海の悪役といえばサメの右に出るものはない。
凶悪な目付き、鋭く尖った巨歯で血みどろの饗宴を繰り広げる殺し屋。
海洋生物の保護活動を行う非営利団体「ペラジオス・カクーニャ」が「これまで撮影されたなかで最大のホホジロザメ」と言う動画をフェイスブックに投稿した。
体長六・一㍍、体重四㌧を優に超えるという。
海中の鉄檻から撮影に成功、「デイープ・ブルー」と名付けたという。
オーランド(フロリダ)のマリンパークで三年前、女性トレーナーを噛み殺した哺乳動物シャチと同じ体長で、横綱白鵬二十七人分に等しい重さを誇る。
撮影したのはLA港から南へ六百㌔、バハカリフォルニア半島中央・ロザリオから西へ三百㌔のグアダルーペ島付近。
動画の再生回数は三百万回を超えたという。
地球上最大の動物、シロナガスクジラ(体長三四㍍、体重百九十㌧)や地球上最大の魚類、ジンベイザメ(体長一三・七㍍、体重二二㌧)より小柄だが、サメの海の凶悪ぶりはもはや伝説になっている。
襲われたら死に至らなくても手や足の一、二本必ず食いちぎられると信じられている。
サメの犠牲者の凄惨なシーンをみると思わず目をそむけたくなるが、「サメやライオンはむしろ安全な動物」という人がいる。
マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏だ。
同氏がまとめた「最も危険な動物」によると、一年に人命を奪う動物の一位は毒蛇の五万人。
二位狂犬二・五万人、三位ツェツェバエ、吸血昆虫、淡水巻き貝各一万人、六位回虫二五○○人、七位サナダムシ二○○○人。
八位鰐一○○○人、九位カバ五○○、十位象、ライオン各一○○人、十一位サメ、狼各一○人。
世界保健機構(WHOによると毎年平均四五万人ほどの命が人間同士の戦争や犯罪で失われているという。
古諺に「真の敵は身内にあり」というように、人間が人間の敵となる。
サメもライオンも人間の凶暴さにはてんで及ばないようだ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。