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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第345回『人の支配』と『法の支配』

2015-10-08

 人はみな幸せを願っているが、自己努力だけではムリで、周囲の巡り合わせが重要になる。
 とりわけ努力が報われるルールの存在が必要になる。
 原始社会で腕力に勝っていると、族長にも王様にもなれる。今の民主社会は腕力だけでは何ひとつできない。
 強い者にも平等に容赦なく、適用されるルールがあるからだ。ルールが守られる限り、腕力家の出る幕はないが、ルールを破る腕力家がいると幸せは遠のく。
 日本は侵すことの出来ない最高位ルールを決めている。この最高位ルールを憲法と呼ぶ。
 国民の声である国会と、国会で決めた実施法(憲法より下位)を実行に移す内閣と、国会と内閣でおかしなことをしていないかチェックする最高裁とが三すくみで国を運営する仕組み。
 これを三権分立といい、憲法による秩序を『法の支配』と呼ぶ。
 『法の支配』の真逆を『人の支配』というが、油断すると『人の支配』が頭をもたげる。
 リーダーは人で、神ではないから『法の支配』に背くことがある。幸せが不幸に変わる。
 ピーター・ドラッカーは『何が正しいかより、誰が正しいかに関心をもつ人をリーダーにすべきでない』と述べている。
 腕力家による『人の支配』は人々を幸せにしないというのだ。
 日本が攻撃されていないのに米国が攻撃されたら日本が攻撃できると安倍首相はいう。
 これは戦争を禁止する最高位ルール、憲法9条に反している。
 しかも安保法案を閣議で決め四月訪米で今夏の採決を約束するという国会無視をしている。
 ワイマール憲法を破って戦乱を招いたヒトラーと同じで、『法の支配』に背いている。
 中国等の脅威に備えるに、米国の後ろ盾がいるから米国を武力面で少し支えるとの思いもわかるが、それは9条ルールを改正してやること。
 そんな悠長な、と言うなら解散総選挙で国民の声を聞けば済むこと。
 反対ばかりせず「対案を出せ」との声もあるが、憲法に反する以上、『法の支配』に従えとしかいいようがない。
 『法の支配』を放ったら議会主義で培ったすべてを失ってしまう。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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