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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第347回 ブームに沸く日本食エキスポ

2015-10-15

 パサデナの『日本フード&日本食店エキスポ』(共同貿易主催)を訪ねたら、大変な人だかり。
 日本の和食業者のブース百五店を次々回る地元業者の数は事前登録二千八百人に飛び込みを加えると三千人近くに上ったもようだ。
 農水省調べによると、世界で一昨年五・五万店だった日本食店が今年は八・九万店に、北米に限ると一・六万店から二・五万店に増えている。
 ユネスコ無形文化遺産の指定を受けた一昨年十二月以降、世界は和食ブームに沸いている。
 私たちのお目当ては大吟醸酒だった。人気の久保田、獺祭、梵の喉越しは期待通りだった。
 連れの一人、前日商会頭竹花晴夫氏のお勧めは大吟醸『米のささやき』に『秋津』だった。
 前者は世界ワイン選手権でプラチナメダルを受章したそうだ。確かにトップランクの味だ。
 ラベルが小野小町の『百人一首のしらべ』という酒を発見した。成田空港免税店のみで販売されている珍品で、とても涼やかな後味だった。
 岩手の『南部美人』のブースにはユダヤ教コーシャ(食事規定)の認定書が張られていた
 「コーシャに適う」という趣旨の認定書にはラビ、B・エデリー氏の署名が添えてある。食文化の伝道師たる酒蔵主の静かな気配りを感じた。
 時事通信社の現役時代に盛岡支局長を一年だけ務めたことがある。
 私と同じ単身赴任のジェトロ盛岡支店長Sとほぼ毎日小料理屋で待ち合わせて飲んでいた。
 『南部美人』と『七福神』をよく求めた。
 この話をもう一人の連れ、「LA地酒の会」会長水野穣氏(ソルコム社長)に話すとロスで手に入らない『七福神』を早速取り寄せてくれた。
 酒は回顧録に似ている。口に含むと三十余年前の昔を思い出した。
 食べ物ブースではまぐろの刺身やタコ焼きまで揃っていた。
 佐賀・呼子の剣先イカの刺身を食べた。共同貿易会長、金井紀年氏が日本で一番うまいと言っていたイカだ。
 ラーメンを食べようとしたが諦めた。四十㍍以上の行列ができていた(写真)。ラーメンのブレークは本物だと思った。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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