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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第347回 米・中・日の腕力の差は?

2015-10-22

 なぜ人びとは望まぬ対立を望むのか。中東、アジアでの米中露の勢力争いが目だっている。
ロシアが急に動いた。
 カスピ海から巡航ミサイルでシリアの反政府勢力を急襲した。イラン、トルコ上空を飛んで正確に着弾したという。
 射程距離二五○○㌔のミサイルで、米国もNATOも不意を突かれた形。
 一歩も引かない中国の南シナ海への侵出も露骨になっている。
 南沙諸島を埋めて三○○○㍍の滑走路を造った中国の傍若無人ぶりが西側の非難の的だ。米軍も比国軍と争奪作戦を想定し南シナ海の合同演習に乗り出している。
 南シナ海の米中対立はほぼ一触即発のきな臭さだ。
 岩礁埋め立てによる中国の領土拡張で、「航海の自由」が損なわれようとしている。
 まるで峡谷の綱渡りだ。空の支配を主張する「防空識別圏」の周りで今にも戦闘機の空中衝突が起こり得る。潜水艦の異常接近も発生し得る。
 第三次世界大戦の最初の発火地点はアジア、とりわけ南シナ海周辺ではないだろうか。
 アジア支配を目指す中国と米国の腕力の差が徐々に縮まっている。陸海空を合わせた兵員は中国二二六・九万、米国一五二・三万。
 航空機は中国二五七一機、米国二五六○機、ミサイルは中国二四二七○基、米国一二○七基、航空母艦は中国一隻、米国一○隻、ヘリは中国六五三機、米国五○一九機。
 中国は航空母艦を一隻しか持たないが、兵員とミサイルで日米を圧倒している。
 米国は航空母艦とヘリの展開で圧倒的な腕力差を誇示している。
 兵員一五・三万、航空機六三○機、ミサイル三八一基、航空母艦二隻、ヘリ六六二機の日本の存在が中国には気になるが、背後に米国がいなければ大したことはない。
 バチカン、アイスランド、コスタリカ、パナマ、ドミニカなどは隣国の協力で非武装を保っている。例えばモナコの防衛はフランスとの軍事契約で守られている。
 日本は理想と現実の乖離に悩む日々だ。平和憲法9条の解釈変更で、米軍の要請により米軍を助ける武力の行使を担いつつある。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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