今月の庭仕事
Lesson 150 茗荷(ミョウガ)栽培
2015-10-14
今年の夏にはいろいろな方から、茗荷の不作についての話を聞かされました。今期は終わりましたが、今日はその作り方について私見を話してみます。大切な要点を挙げますので、来年の参考にしてください。
多くの方が言われたのは、茗荷の収穫数が少なかったということでした。普通のことですが、植物をうまく育てるのには、その植物が必要とする環境を充分な形で作ってあげることが必要です。では茗荷はどのようにしたら、良い環境を作れるでしょうか。
よく知られているのは、茗荷は日陰を好むということです。しかし、それも程度があり、葉による光合成ができないような暗い場所は適しません。明るくて温かい、木漏れ日くらいの場所が適当でしょう。もちろん、この南カリフォルニアの乾燥した強い直接の日差しは禁物です。水を朝に十分与えても、日中は根から吸収される水量では葉からの蒸散作用に使われる量に追いつかず、日焼けを起こす原因となります。
土については、地下茎を自由に走らせるために、排水が良く、堆肥や熟成した牛糞・鶏ふんなどの有機物で充分改良された土が必要不可欠です。特に鉢植えの場合には、排水がとても重要で、鉢土が底から抜けない程度に水の抜け穴をたくさん作ってください。肥料はアンモニアなどの窒素分の高いものは控え目にして、基肥として遅効性のものを使い、茗荷の出る2〜3ヶ月くら前に追肥として花の分化を促進する燐酸が多めの化学肥料をあげます。 ご存知のように食べる茗荷は「葉」の芽ではなく「花」の部分なので、このことは重要になります。
最後に、皆さんが気がつきにくい部分です!茗荷を長く同じ場所に作り続けると、いわゆる“連作障害”が出て、少しずつ収穫量が減ってきます。この現象は鉢植えの場合でも同じです。ですから地植えの場合は場所を変え、鉢の場合は土を入れ替えましょう。
以上、さまざまな要点を挙げましたが、重要なことはこれらの要素が同時進行の形になるように管理することです。これらを考えながら茗荷作りをすると、マーケットで2~3個入ったパックが5~6ドルするのに目が飛び出すこともなく、自分の庭で茗荷の芽がたくさん出てくれるでしょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。