今月の庭仕事
Lesson 152 11月1日のセミナー報告
2015-11-12
11月1日、南加庭園業者連盟ビルの会議室で、果樹の栽培についてのセミナーが開催されました。セミナーのお題は、「おいしい果物を作るための栽培方法」。実際に果物を育てあげてきた経験と、それらによって裏うちされた知識がなければ、こんな恐ろしいお題はつけることできません。セミナーには約60人の参加者がありました。
講師の白澤さんのお話によると―おいしい果物とは、さまざまな条件が適当に重なってできる総合的な結果なので、ただ一つの条件を満たせば成就できるというものではない。加えて、栽培している間には、私たちがコントロールできない気象環境や土壌の問題もあり、全てのものが理想的に組み合わされるということは稀である。しかし、それに近づくための努力をすることが挑戦でもあり、喜びでもある。
要するに植える場所に適した果樹を選定することが大切ということです。例を挙げると、冬期の要求低温積算時間(個々の果樹によって時間は異なりますが、ある一定の温度以下になった時間の合計)が長い/多い果樹は、南カリフォルニアには適さないケースが多いそうです。もちろん南カリフォルニアと一口に言っても、沿岸地帯、中間地帯、昼と夜の温度差が大きい地帯とあり、要求低温積算時間は差があります。量販店より地域のナースリーで話を良く聴いたほうが良いでしょう。
涼しい沿岸地帯は年中冷涼で冬の寒さが足りません。低温積算時間が短く、花芽を作るために、寒さを必要とする落葉果樹には向かない気候だといえます。花芽がなければ花は咲かず、花が咲かなければ実はなりません。湿気が多いため、病気になりやすいとのこと。ミルデュウ(うどん粉病)など発生しやすくなります。
中間地帯は、候が温暖で霜がおりず、沿岸地帯と同様に冬の寒さが足らないため常緑果樹向きの気候といえます。りんごなどの落葉果樹では品種によって要求低温積算時間が異なるため、時間の短いフジなどは生育可能です。
昼と夜の温度差が大きい地帯、しいて言えば砂漠式気候とでもいえると思います。冬の寒さが十分で霜が降り、落葉果樹向きの気候といえます。逆に、その冬の寒さのため、亜熱帯式気候を好む常緑果樹シトラス類には向かない気候といえます。
セミナー報告になりましたが、土壌、肥料、栽培については次回に!
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟の新垣安徳さん。「今月の庭仕事」の18回目から、自分の経験を元にコラムを書いていて、失敗&成功例まで経験豊富!
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。