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コラム

今月の庭仕事
Lesson 153

2015-11-25

 野菜や果物作りにおいて堆肥を与えることは非常に大切なことです。その堆肥の役目はまず第一に、微生物によって分解されて含まれている栄養分を長い間、放出することです。
 この栄養分の分解、放出については完全に分解されているものより、まだ70%くらい分解されているものの方が有効的です。なぜなら、この段階では、微生物によって分解された栄養分はまだ流出されずに堆肥の中に残っているため植物が吸収できます。また、まだ分解されていない堆肥が微生物によって分解され、その栄養分は野菜などの短い生育期間を支えてくれます。
 次に堆肥の土壌に対する働きです。土にはいい植物を育てるうえでいろいろな機能が備わっていないといけませんが、その一つが水はけです。水はけが悪いと根が必要とする酸素が不足して根が腐ったり、弱くなると病気になりがちになるなど、植物そのものが生育不良に陥り、期待どおりの収穫は望めません。
 水はけが悪いと酸素が少なくなる構造は簡単です。酸素の豊富な空気は、土の中の余分な水分が引いてできた隙間に入り込んできます。ではどのようにして堆肥が水はけを助けるのでしょうか。土の水はけは土壌粒子が大きければ大きいほどよくなります。土の中で分解された堆肥は土の粒子を繋ぎ合わせて粗い団子状になり、この団子状の大きくなった間を水が通り抜けます。そこに酸素の入った空気が入り込みます。この団子状の粒子そのものの中には細い隙間が残っているので、そこに最低限の水分は保証されます。もちろん、水はけを良くする働きは、堆肥の物理的な大きさによることも見逃せません。
 では、堆肥の作り方を見てみましょう。堆肥になる原料そのものは庭からでる刈った芝生、垣根の剪定くずや台所からの屑や落ち葉などです。小さな枝なども堆肥になります。
 大事なことは落ち葉や枯れた草などと枯れていないものとの割合を調節します。緑のものだけを積み上げると固まってしまうので、枯れたものを30%位入れましょう。最初はちょっと有機物を分解する微生物が少ないので、すでに微生物が入ってる土をところどころに入れて分解を早めます。適当な水分を与え、時々堆肥を切り返して層を混ぜます。できあがるのに、だいたい6か月くらいかかるでしょう。このようにしてできた堆肥は、植え付けなどの2週間前くらいに土に入れて、その土と馴染ませしょう。

■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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