後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第363回 コークの献金次第で共和の勝利?
2016-02-25
十一月の米大統領選は面白くなりそうだ。大接戦の末、共和党が政権を奪還する可能性がある。
ただしドナルド・トランプを予備選で外し、テッド・クルーズかマルコ・ルビオで戦うことが前提条件になる。
問題はコーク兄弟ら大口資金提供者がどんな手を使ってトランプの行方をはばむかだ。
民主党はバーニー・サンダースが猛追しているが、本番に進むのは結局ヒラリー・クリントンではないだろうか。
共和党員はトランプの直球発言を歓迎しているが、傍若無人の発言に眉をひそめる人も多い。
彼は数百万のメキシコ移民を「麻薬の売人」、「レイプ犯」とののしった。「おれが大統領になったら、国境沿いに塀を作りこいつらを締め出してやる」とも言った。
ついには「イスラム教徒の移住をただちに禁止しろ」と息巻いた。共和党本流は辟易した。
トランプを回避する動きと同時に上院議員テッド・クルーズとマルコ・ルビオが台頭してきた。兄の暴政に影響されたか、弟ジェブ・ブッシュはついに無念の撤退を余儀なくされた。
共和党保守派の急先鋒クルーズと若手の論客ルビオは草の根保守派運動「ティーパーティー」のお気に入りだ。共和党の支持基盤そのもので、資金源に大富豪のコーク兄弟らを抱えている。
兄弟の率いるコーク・インダストリーズは世界一の非上場企業だ。
石油、化学製品、天然ガス、バルブ、銀行などを傘下に持ち二人は誰の干渉も受けない世界一の独裁企業家だ。
二○一三年度は千百五十億㌦(十三兆八千億円)を売り上げ、兄弟の資産はそれぞれ二百二十億㌦(二兆六千万円)にのぼる。
兄弟は「今年は選挙の年。政治献金に八億八千九百万㌦(千二十三億円)を充てる」と言う。
トランプを戦線から外し、クルーズ、ルビオのいずれかに巨費を献じ次の大統領を手繰り寄せる。
私に小口献金を求めてくるほどヒラリーは資金不足で。両党の資金差は歴然としている。
コークらの献金次第で、共和党の政権奪還が現実味を帯びてくる。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。