後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第381回 土葬が火葬へ、埋葬が散骨葬へ
2016-06-30
あの世に行くのもカネ次第!
土葬が廃れ、火葬に人気が立っている。
米誌「タイム」によると、来年までに火葬が土葬を上回る勢いだ。
火葬の三分の一は土に、三分の一は手元に、あとの三分の一は散骨葬に。遺灰を海や空にまく葬儀を散骨葬という。
周恩来やライシャワーのように空から遺灰をまくのも散骨葬だが、これは少し高くつく。
一番人気はアインシュタイン、ネルー、勝新太郎、石原裕次郎、立川談志のように海に遺灰をまく海上散骨葬だ。
連邦取引委員会のスローカム専務理事によると、火葬に千㌦(十万円)、二千㌦かかるという。
海上散骨葬はこれに五、六百㌦足すだけで済む。墓の設置、寺社(日本)に払う戒名、法事、法要、周忌等の経費は終生発生しない。
北米火葬協会のケミス専務理事によると、火葬埋葬は三千二百㌦かかるが、土葬埋葬六千六百㌦の二分の一以下で済む。
埋葬は墓にも三千㌦(日本は百万円単位)要るから散骨葬の四倍強だ。
土葬埋葬、火葬埋葬、散骨葬のいずれも、葬儀業者が葬儀一般および医師や郡政府と連絡をとり死亡証明、火葬許可等を取り付ける。
連邦取引委員会は「葬儀法」に基づき高価な棺おけやエンバーミング(遺体の消毒や腐敗保存)を強要しないよう業者を指導している。
棺おけは下は二千㌦、上は一万㌦かかる。業者は「五、六百㌦の松製、ボール箱でも遺体を収納できる」旨、遺族に伝えねばならない。
ビューイング(参列者が遺体を観ること)を望む散骨葬にはレンタル棺を勧めること。
散骨葬は業者が合法的に遺灰を海にまく業種で、ネットにAsh scattering servicesとかProfessional cremation scatteringと打てば沢山出てくる。
慣習上、戒名、布施等を伴う日本の葬儀は二百万円前後要る。墓を整えると三百万円を超える。
核家族や檀家制度の崩壊で、子孫が先祖代々墓を守る旧来の宗教慣習に変化が起きている。
遺体を自然に還す散骨葬は自由で激安だ。寺社離れと共に、散骨葬を選ぶ遺族が今後、増えるのではないだろうか。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。