JERCの教育相談Q&A
vol5 全日制日本人学校に編入させようか、現地校に編入させようか迷っています
2016-06-08
Q:最近、小学5年生の子どもを帯同してアメリカに赴任しましたが、期間が3年くらいですので全日制日本人学校に編入させようか、現地校に編入させようか迷っています。どう考えて選択したらよいのでしょうか。
A:子どもが海外で教育を受け始める年齢と滞在期間というのは、学習面でも多大な影響がありますので、よく検討しなければなりません。学習言語はそのまま日本語なのか、それとも英語に変えるのか、子どもにとって重大な局面を迎えることになります。学校の選択は、英語圏だから現地校へというのではなく、子どもの年齢や性格そして滞在期間を考慮して決める必要があります。
①3年の滞在を、親はどう捉えるか!
たった3年しかいないのだから現地校で学ばせようと考えるケース、或は3年では短か過ぎるから全日制日本人学校で、基本は日本語で学ばせようと考えるケースの二通りがあります。子どもの教育は親の責任ですからどちらを選ばれても構いませんが、お子さんにとっての3年間は、学校教育を受ける重要な時間であり、「体験」だとか「英語が習得できる」などと安易に考えてはならないということが言えます。日本語で育てるのか英語で育てるのか、子どもの年齢や性格、そして日本の学校での成績なども考慮の上、学校の選択をしましょう。
②学習言語を変えるということ!
子どもにとって、学習言語がある日突然変わるというほど衝撃を受けることはありません。日本語と英語というまったく異なった言語で学ばなければならない。英語を習得しながら学習していくという、何とも過酷な状況です。英語での学習に何とか付いていけるようになるには、5年から7年かかるわけで、それまでして現地校で学ばせるという意義は何なのか、親は考えなければなりません。
③ 全日制日本人学校と現地校
*アメリカにある全日制日本人学校の役割
先ず日本人として、母語である日本語で教育を受け言語の基礎を確立させることが重要であるので、アメリカに関わらず、海外にある全日制日本人学校の役割はたいへんに大きい。言語だけでなく文化や習慣をも身に付けた日本人が、本当の国際人と云える。
アメリカの中で、日本語だけで学習するということではなく、英語圏で育っている雰囲気を取り入れながら、英語教育にも力を入れている学校もあり、バイリンガル教育を念頭に海外での良い教育が行われている。
*アメリカの教育を受けるということ
アメリカの教育を受けるということは、よきアメリカ市民になるということ。そして英語で学習
することで、年齢にもよるが考え方やモノの見方がアメリカ人になるということ。教育が子どもに与える影響は多大である。
また、アメリカの教育は考えさせる教育である。学習によって、理論的にものを考える方法を学ぶ。自分の意見をしっかり持ち、発言できなければ生きていけないアメリカ社会である。
英語で学習しながら日本語での学習も継続しなければならない日本人子女、日本語基礎力と強固な精神力が必要とされる。
以上を参考にされ、どちらの教育を受けさせればよいか十分に検討されることをお薦めします。子ども自身のやる気、親のサポートそして教師のよい指導、その三本の柱が揃うことも必須となります。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。