JERCの教育相談Q&A
vol7 学校からのボランティアを募るレターに手を挙げる勇気が出ません
2016-08-19
Q:学年の初めに、子どもが学校からボランティアを募るレターを持って帰ってきましたが、言葉の問題もあり、手を挙げる勇気が出ません。学校の中で、私でも何かできることはあるのでしょうか。
A:大人も子どもも、言葉が理解できない環境に居ることほど、ストレスを感じることはありません。しかし子どもは、暗闇の世界である学校へ毎日行かなければなりません。ですからお母さんも、勇気を出して学校へボランティアとして入り、子どもと同じ体験をしてみましょう。言葉の壁は、必ず乗り越えることができます。
①学校運営に欠かせない、親のボランティア
アメリカの学校は、ボランティアの存在なしには運営が成り立たたない、と言われるほど保護者が積極的に参加しています。すべての行事の企画、運営に携わり、図書室の管理も任されています。
年度初めに、PTA集会で仕事内容の説明があり、ボランティアとして氏名登録をする呼びかけがあります。小学校では「クラスマザー」と呼んで、クラスの中で教師のお手伝いをしたり、工作の準備をしたり、また算数テストの採点なども行います。都合のよい時間を申し出ると、何らかの仕事を任され、クラスの計画の中に組み込まれます。ボランティアとして学校の仕事に携わることで、教師とよいコミュニケーションができること、また学校のシステムが理解でき、自分の子どもの様子を知るよい機会ともなりますので、積極的に参加してみて下さい。
②真のボランティア精神
昔、ある教育者の方から、真のボランティア精神について伺ったことがあります。『ボランティアとは、自分の時間を割いてでもするのがボランティアである。時間のある時にするのは、ただの暇つぶし』と言われ、勉強させていただいたことを覚えております。また決して報酬を求めるのではないことも学びました。
日本でも、大きな災害が起こると、多くの方々が自分の時間を割いて現地に赴き、片付けなどの支援をされており、随分、真のボランティア精神が育ってきたことを実感しております。
③日本人保護者のボランティア
日本人保護者の方は、やはり言葉の問題から学校でのボランティアを躊躇される方が多いようですが、もし日本人会のようなものがありましたら、皆さんと一緒に活動されてはいかがでしょうか。また、言葉のやり取りが少ない仕事などを引き受けることもできます。私の経験ですが、子どものクラス担任が『日本の人は手先が器用だから、劇のときに使うバックの絵を描いて』と頼まれました。アメリカ人の母親と一緒に、大きなアメリカ国旗も描きましたか。週3日ほど学校に通い、必死で仕上げたことがよい思い出になっています。特に日本から来たばかりで、不安な学校生活を送っている子ども達の場合、自分の母親が、悪戦苦闘しながら学校内でボランティアに励んでいる姿を見れば、とても心強く、少しは安心できるのではないでしょうか。お母さんも頑張っているのだから、ぼく/わたしも努力しようという力が湧いてくるでしょう。
学習言語が異なった現地校で子どもを学ばせるとき、親も共に学校に入る気持ちでなければ、子どもは学んでいけません。異文化生活の辛さや苦労を共有することで、子どもは親を信頼し学ぶための精神力を強化していきます。お母さんも言葉や習慣の違いを乗り越え、学校でのボランティアに参加してみて下さい。アメリカの習慣、学校教育のシステム、そして考え方など多くを学ぶことができます。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。