キム・ホンソンの三味一体
vol78 精神的につらい時、大事な3つのこと
2017-07-13
先日、子供達を連れてバケーションに行ってきました。家からそう遠くないところにあるホテルとウォーターパークが一緒になったような遊園施設でした。そこに3日間泊まりながら、食事と寝る時間以外はひたすらアトラクションやプールで水遊びをさせました。さすがに疲れてしまいました。いつものことですが、バケーションと言っても子供が3人もいる私達夫婦にとってはただの労働に他なりません。子供達が安全に楽しく遊べるようにせっせと働いても、子供達が楽しく遊んだ後に疲れ過ぎてかんしゃくを起こした時は一番大変です。これには結構精神的に堪えてしまいます。親としては楽しく遊んで欲しいと思い一生懸命に頑張ったその努力が何一つ報われないような気持ちにさせられるからだと思います。
そう考えると、人は肉体的な苦労よりも精神的な苦痛に対しての方が弱いような気がします。20年前に私が韓国の軍隊に徴兵された時、上級兵の嫌がらせに比べれば、肉体的に過酷な軍事訓練の方がよっぽど楽に思えました。過酷な訓練はその時だけで精神的な苦痛につながらないからです。一方、同じ部隊で四六時中生活を共にする上級兵の嫌がらせは精神的にかなりきつかったような気がします。当時、よく同期と深夜の歩哨に立ちながら「除隊したら何を一番にしたいか?」と語り合ったものです。そう話していると不思議と気分が落ち着いて楽になりました。おそらく「徴兵生活は時が経てば終わるのだ」とお互いに確認し合っていたのだと思います。
軍隊を除隊したからと言って極楽のような社会が待っている訳ではありません。形は違っても同じようなプレッシャーや精神的な苦痛にさらされてしまうのが私達の現実ではないでしょうか。
一番大事なことは3つです。1.思考力(この状況が永遠に続くことはないことを知ること)2.想像力(この状況を耐え抜いた自分を想像して希望を持つこと)3.対話(自分の状況を話すことのできる人を持つこと)。中でも一番大事なことはやはり3だと思います。何とか自分一人で頑張れる1と2とは異なり、対話とは他者との関係において初めて可能になるからです。
「話を聞いてもらいたい」「話を聞いてくれる人が必要だな」という方は是非ご連絡ください。私達に自分がおかれた状況を変えるだけの力はなくとも、その状況をみる自分を変えることはできるのではないでしょうか。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。