キム・ホンソンの三味一体
vol80 イベントの実行委員、大募集中!
2017-08-10
以前ソーシャルワーカーとして働いていた時の話ですが、ある日空港から困っている日本人がいるとのことで電話相談を受けました。本人に出てもらって説明を聞いたところ、以下のような事情でした。「日本から観光で来た。外国に来たのはアメリカが初めてで、パスポートもそのために初めて作ってもらった。確かに自分のミスでパスポートを失くしたのだけれども航空券はちゃんとある。一旦日本に着けば自分が生まれ育った村の人間なら誰でも自分のことを知っているからいくらでも証明できる。とにかく飛行機に乗せて欲しい。」確かに、親代々同じ地域で生まれてそこから出たこともない人の中には「自分が自分であることは当然だ。紙切れで自分を証明するのは形式に過ぎない。」と、自分という存在を客観的に考える必要性を感じない人がいても不思議ではありません。
しかし、外国のようにそれまでの常識が通用しないところに身を置くとなれば、自然と自分の存在を客観的に考え始めるようになります。その典型的な例が、幼い頃に連れて来られたり、またはここで生まれた外国からの移住者達の子供達ではないでしょうか。彼らは成長するにつれて次第に自分と他者の違いに気づいていきます。人種、言葉、文化、価値観などを比較してその違いを認識していきますし、教育や周辺の影響によって現地の文化や価値観もまた自分のアイデンティティの一部となっていきます。その過程で自分が自分であることを不確かに感じて動揺し、不安に襲われることをアイデンティティ クライシス(自己認識の危機)といいます。そしてこういった問題は、特に私の家族のような日系と韓国系からなる親同士の子供達、要するにマイノリティーとマイノリティーからなる家族により顕著に現れるのだと思います。
そこで今度の10月、日韓ファミリーが共に集い一緒に学んで交流するためのイベントの開催を計画中です。「二世達の健全で前向きなアイデンティティ形成のための親の役割」「多文化/多言語(3カ国語)教育」等の関心事をシェアし学ぶことを通して、日韓ファミリー間のネットワークを強め、さらには日韓ファミリーそのものがアメリカにおける日韓両コミュニティのハーモニーと友好を象徴する一つのモデルとなっていくことを促すことが、このイベントの目的です。
現在、イベントの実行委員を募集中です。ご興味のある方は是非私の方までご連絡ください! (310)339-9635 khs1126@gmail.com
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。