後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第441回 優勝の夢運ぶ〝ダル”のド軍入団
2017-08-31
沖縄女性を母に持つ外野手Ⅾ・ロバーツがデビルレイズからドジャースに移籍してきたのは二〇〇二年のことだった。
二、三の球団で経験を積んだあとロバーツが監督としてドジャースに再び迎えられるとは思ってもいなかった。
ドジャース対ジャイアンツ戦を家族と観戦したその年の夏、左打者の打ち損じた球が三塁側内野席を直撃した。
差し出した息子の掌に大リーグの球が収まるのをみて夢かと驚いた。
球の重さは一四九㌘、周囲は二三・五㌢、想像よりずっと小さかった。
広島の前田健太の昨年に続きこの七月三一日、ダルビッシュ有がレンジャーズからドジャースに突如入団した。
一三年に三振奪取王(二七七個)になる等大リーグ有数の三振をとれる投手ゆえ華がある。
ようこそ三振奪取王。
マウンドプレートから一九六㌢の長身が一八・四四㍍先のキャッチャーめがけて投げ下す一四九㌘の球は秒速一五九㌔。
人差し指と中指で球に回転をかけて利き腕と反対方向または下方に変化するそのスライダーは、アメリカンリーグの監督アンケートで球界一の威力と絶賛されている。
速いスライダーは一瞬視界から消え、遅いスライダーは右打者から遠ざかるように曲がり落ちるという。
最大四一㌢の落差を誇るパワーカーブはバットの芯で捉えるのが至難の技との証言もある。
さらに内野ゴロを誘うスプリッター、直球に近い球速で鋭く変化するカットボール、速球と同じ腕の振りから投げるチェンジアップ。
どの球種も大リーグの水準以上と評判だ。
野茂英雄の活躍で味をしめたド軍はその後、日本人投手の石井一久、斎藤隆、黒田博樹、前田健太そしてダルビッシュを獲った。
入団初戦のメッツ戦七回で三振一〇個、次のⅮバックス戦五回で一〇個、腰痛を我慢したカブス戦五回で二個、二七日ブルワーズ戦五回で七個を奪い、ド軍加入二勝一敗、腰痛全快で今以上の快投乱麻を期待できるという。
左腕カーショーらにダルを加えた球界一の投手陣がリーグ優勝、Wシリーズ制覇を確実にしたと早くも囁かれている。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。