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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第407回 微笑んであの世に行ける安楽死

2016-12-29

死は若者に遠く、年寄りに近い。
人の寿命は百になる前に大体尽きるが、年を取るにつれ体に痛み、内臓に障害が起きる。
希望のない未来を嘆いて死を望む人もいる。
脚本家の橋田壽賀子さん(九一)もその一人。「周囲にボケ始めたといわれたら、すぐスイスに飛ぶ」と言う。
スイス・チューリヒの医療法人「ディグニタス」(Dignitas)で安楽死するというのだ。
治癒見込みのない外国人患者の自殺を幇助する唯一の機関だ。
仏人レスビアン作家、ミッシェル・コース(七四)の安楽死の場面が『スイス 自殺幇助サービス』と題しYOUTUBEで公開されている。
一○年七月二九日スイステレビで放映したものだ。
重い骨髄症を病む彼女、致死量の白い液体ペントバルビタール・ナトリウムを助手から受け取ると、「まずい」「苦い」と言いつつ飲みほし、板チョコをほおばる。
「ちょっとだるいわ」とほほえむ。「どれくらいで逝くの」「あと一分よ」「さようならを言うわ」「さようなら」。穏やかな顔で目を閉じる。四分四二秒後に永眠。
医師立会い費、死亡証明書、火葬、葬式込みで九二一○㌦(一○八万円、一㌦=一一七円)。
安楽死関連費用はこれに、チューリヒまでの航空費と入院費が加わる。
安楽死を認める国は今、スイスほかオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダの五カ国だ。
米国は連邦の認定はまだだが、オレゴン、ワシントン、モンタナ、バーモント、ニューメキシコ、カリフォルニアの六州で認めている。
カリフォルニア州は一五年九月、医師による安楽死を合法化する法案を上下両院で可決、知事の署名で成立した。
適用例の発表はないが、米国籍の場合、スイスより格安料金になる模様。
安楽死の認可条件は次の三つ。
①致死薬を入手できるのは十八歳以上で、二人の医師から余命半年以内と診断されていること②自分の意思で安楽死を選択する能力を持っていること③二人の立会いのもと、書面を作成し医師に提出すること。
安楽死は今、長寿社会に向かうアンチテーゼを突きつけている。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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