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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第403回 オレンジ郡から聖音楽の使者

2016-12-01

アマ合唱団が力をつけている。オレンジ郡友好合唱団が先に歌った曲目はブラームスの「ドイツレクイエム」だった。
団員、樋口千鶴子さんによると、準備一年、「かなりの出来栄えだった」という。アマ九十人に一時間二十分もの難曲を歌う底力があるとは夢にも思わなかった。
合唱は実に心地よい。レッドアーミーコーラスの「ヴォルガの舟歌」、「ポリューシカ・ポーレ」、あるいはドリーブの「花の二重唱」。
アリアもよい。復刻版リリー・ポンスの「鐘の歌」、カルーソの「妙なる調和」、「冷たき手」。
趣味を押し付けて申し訳ないが、小品ならクライスラーの弾く「スブニール」(ドルドラ)。そこに父母と妹と私が集うトパーズ色の追憶がある。
アマバイオリニストの父が巧みに弾いたフォーレの「シチリアーナ」、トセリの「セレナーデ」も回顧の中だ
フォーレの「シチリアーナ」、「夢のあとに」、「パヴァーヌ」、「エレジー」は中間色のポエム。
三大バイオリン協奏曲の好みは年年変わる。山のように高いベートーベン、海のように深いブラームス、少女のように感傷的なメンデルスゾーン。
十代後半にメンデルスゾーン、二十代からベートーベンとブラームスに傾いていく。
ブラームスの三曲、特に『雨の歌』とフランクの一曲がバイオリンソナタの至宝だろう。
ピアノ協奏曲の完璧すぎる「皇帝」(ベートーベン)は嫌、シューマンとラフマニノフを採る。
ラフマニノフ二番一楽章とモーツアルトの二十一番二楽章は天上の美しさ。アルゲリッチでベートーベンの「月光」とショパンの「雨だれ」を聴いて夜のしじまを思う。
交響曲はブラームスの一、四番とベートーベンの三、五、七、九番。ブラームスの四番は私を自殺の淵まで追い込んだ。
フルトベングラー指揮ベルリンフィルの九番は雷神の襲来だ。一九四二年四月、ナチス幹部を前にした彼の九番は管弦合唱の嵐の連呼!
アマ合唱団を支えるファンの目は一段と暖かい。
オレンジ郡友好合唱団が三大レクイエム(モーツアルト、ヴェルデイ、フォーレ)を征服する日の近いことを期待する。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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