今月の庭仕事
Lesson 197 植物栽培の土
2017-11-01
植物栽培で一般に言われる土の準備、水のやり方、肥料のやり方の他にもたくさんのことがあります。今回は、基礎的知識の中で見過ごしやすい土について話します。
土の準備として有機物の堆肥や化学肥料を基肥とすることは知られていますが、その時に土を酸性とアルカリ性の中間、つまり中性の土壌にすることに注意があまり払われていません。これはとても大事です。なぜかというと、土が中性だと植物が必要とする多くの肥料物質が地中に溶けることができるからです。土が酸性かアルカリ性に傾いた状態だと、イオン化された物質が流されてしまうか固定されて、植物が飢餓状態となります。多くの植物が弱酸性の土壌でよく育ちます。
どのようしたら、多くの植物の成長に適した土にできるかというと、日本は、多くの地域が強い酸性を示すので苦土石灰(マグネシウムとカルシウムの物質)が多要されます。酸性なので雨などで流され失われてしまうマグネシウムやカルシウムを補充します。
しかし南カリフォルニアのほとんどの地域はアルカリ性の土壌なので、日本とは異なった方法をとります。間違っても日本のように石灰を撒いてはいけません。大掛かりな矯正方法として、耕地に水を溜めてゆっくりと地中の塩分を流し去ります。効率よく流し去るために排水用の土管などが敷設されます。
土が弱アルカリ性ならば、中和するために酸性のものを程度よく混ぜれば中性に近い土ができます。身近なものでは、Peat mossや堆肥などが有効でしょう。鉢物などでしたらコーヒーの濾過カスも使えます。もちろん化学肥料の硫安なども使えますが、その濃度管理と施肥の仕方が経験のない人には難しいでしょう。Peat moss や堆肥を使う場合は深く耕し、その土がフワフワした感触の土になった時点でやめていいと思います。
家庭で使う上水道の水は弱アルカリです。この水をやり続けると、水に含まれる塩分が集積して害が出る可能性があります。その塩分を流し去るには時々たくさん水をやり、地中に溜まる塩分を洗い流してください。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。