旅は呼んでいる。
vol.3 ロシア ~モスクワとサンクトペテルブルク~
2018-04-12
ロシアといえば、平昌五輪のフィギュア女子で活躍したザキトワ選手やメドベージェワ選手など美女が思い浮かぶ一方、『おそロシア』なるネットスラングも存在する。クマを手懐けペットにし、ウォッカがない時は工業用アルコールを飲む。体が溶ける危険ドラッグも流通しているようだ…恐ろしい話題が氾濫しているが、本当にそんな国なのだろうか?
実際に訪れると、愛想笑いはしないが親切な人ばかりだった。地下鉄や街中の標識はほぼキリル文字で英語はあまり通じないものの、道を聞くとジェスチャーやグーグルの翻訳機能を使って教えてくれた。また、駅構内は清潔でお城の通路のような外観をしており、治安も良く安心して乗れる。
観光施設は魅力的なものが多かった。モスクワにある軍事博物館や宇宙飛行士記念博物館は見応えがあり、知的好奇心を存分に満たしてくれたし、サンクトペテルブルクでは“ピョートル大帝の夏の宮殿と庭園”がずば抜けて美しく、感動のあまり思わず泣いた。広大な庭園はきっちりと手入れが行き届き青々として、そこかしこで小鳥やリスが戯れており、一日中散策していたいほどだった。他にも、エルミタージュ美術館は建物も展示品も目が眩むほど豪華絢爛で、“レニングラード包囲と防衛博物館”では第二次世界大戦中のナチス・ドイツ軍侵攻の際の市民の生活を窺い知れる貴重な内容に圧倒された。
特産品のキャビアには、さすがに高級で手が出なかった。その代わりイクラやサーモン、牛肉の入ったボルシチはどこで食べても美味しく、中でも最高だったのはフォンダンショコラやオペラ(ケーキ)などのスイーツだ。唯一、スーパーで行き当たりばったりに購入したビールだけがいまひとつだったが。
旅行中、モスクワとサンクトペテルブルクではクマを見かけることもなく、恐ろしい思いは一度もしなかった。何か尋ねれば耳を傾けてくれ、数々の見所と美味しい料理がある。百聞は一見にしかず、とはまさにこのことであろう。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。