Los Angelesの顔
vol. 50 古川 昌義さん
2017-07-08
ギタリスト・コンポーザー・アレンジャー
―平井堅、椎名林檎、SMAP、絢香、高橋真梨子、徳永英明など様々なアーティストのレコーディングやツアーで長年第一線で活動していますが、なぜ渡米しようと思ったのでしょうか?
いくつかきっかけがありました。50歳になる時に自分の人生を考えたところ、このまま日本の生活を続けるならば、ほとんど分かっていることの繰り返しになるなと。もし今からもう一つ何か夢を考えるとするならば、50歳は最後のタイミングかもしれないと思っていたところへLAの友人からの誘いもあり、決断しました。
―日本とアメリカのミュージシャンでは何か違いはありますか。
人柄です。人柄がそのまま芸になります。日本人でもおとなしい人とハデな人とでは同じ曲を演奏しても全く違う曲のようになり、その人となりの音になります。日本人とアメリカに住んでる人とでは、まるで人柄が違いますからね。その人柄そのままの音になりますね。
―日本とアメリカの音楽の傾向の違いはどのようなものでしょう。
日本人の最大の武器で最大のウイークポイントがコンプレックスです。それがあったからこそ勉強や研究をしてどんどん大きくなってきたのですが、アメリカではこう、ヨーロッパではこうと、ついつい当てはめがちです。常に海外を手本にしすぎるというか。勿論良いものはみんなでシェアしたり少し真似てみたくなるのはどこでも同じです。しかし、最後に大切な自分らしさのフィルターの強さが違う、そんな感じがします。
―アメリカでのライブやレコーディングの現場で驚いたことや、日本では考えられらない出来事などはありますか。
日本の現場は全て楽譜社会です。ポップスでは完璧に読み書きできなくてもやっていけますが、それでも楽譜のない仕事場はありません。LAではレコーディングでもライブでも楽譜をもらったことはありません。スタジオに入って、音を聞き、説明があって、もし楽譜が必要なら自分で書く。あるいは前もって送ってもらった音源を聴いて自分で楽譜を作る。随分違いますね。
―アニソンの仕事もしているそうですね。どのようなアニメ作品の楽曲でレコーディングをしましたか。
「天空のエスカフローネ」「カーボーイビバップ」「坂道のアポロン」などは歌と演奏で参加してます。「ガンパレードオーケストラ」は僕の作曲と演奏です。
―ヴォーカリストとしても活動していますが、ギターと歌では音楽に対するアプローチは違いますか。
僕は歌の伴奏が大好きなんです。歌の伴奏をするギターがどうあるのが良いのか、あるいはどうあればシンガーは歌いやすいのかとか、とにかく歌と一緒にあるということを心がけていて、歌とギター全部で音楽を作っていたいんです。人が歌っていても自分が歌っていてもそれは同じですね。
―ギターを演奏する際に大切にしていることはありますか。
自分が幸せであるかです。そして音楽全体の中でその自分はどうなのか、その調和は大切なポイントです。
―古川さんにとってギターとはどんな存在ですか。
ギターがなくなってもすぐに死ぬことはありませんが、でも死ぬ時には弾きたいなあって思うんでしょうね、きっと。
―良い演奏をしたと実感する時はどんな時ですか。
弾いているのではなく弾かされているような感覚で、気が付いたら終わってたような、一つになれた瞬間ですね。
―音楽をしていて、どんな時に充実感を感じますか?
喜んでもらえることが目の前で見ることができるんです。スタジオでも関係者の喜びを直接感じられますし、アリーナでは3万人以上の人の喜びを直接感じる事ができます。幸せな仕事だと思います。
―音楽に関わるうえで、日々心がけていることはありますか。
面白く生きる!ということです。芸能は人柄、生き様が全てだと思っています。楽器が上手いに越したことはないですが、それよりも大切なことがあると思っています。「あの人なんかいいなぁ...」そう思ってもらえる何かが大事なんです。立川談志さんのような。なんか見てるだけでも面白い。
―古川さんにとって、音楽とは。
僕は音楽を通して学ぶこと全てを学んでいるんです。宇宙もソウルも人も調和も愛も。そして今もまだその途中です。
―アメリカではどのような活動をしていく予定ですか?
まだまだ夢の途中です。これからもたくさんの人に会いたいし、知って貰いたい。沢山の音楽を作っていきたいし、バンドも作りたいし、全米ツアーもやってみたい。やることは日本もLAも同じですが、ここLAでどこまでやれるのか。時々ヘコみながらまだまだ!まだまだって行けるとこまで行ってみたいです。折角先の見えない夢を選んだんですから。
ウェブサイト
http://fm7419.wixsite.com/masayoshifurukawa
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。