旅は呼んでいる。
vol.9 オーストラリア ~シドニー、ゴールドコースト~
2018-07-12
「××航空××便成田行きは機械系統のトラブルのため欠航となりました」。空港に到着してそんなアナウンスが流れたら、おそらく多くの人間が「勘弁してよ!」と思うだろう。周囲では、明日は大事な客先でプレゼンテーションが、出張が、本社会議が…と阿鼻叫喚。しかし筆者は急ぎの予定も無かったので、航空会社がどのような対応をしてくれるのか楽しみに身を委ねることにした。
結果、ゴールドコーストで二泊させてもらってから帰国の途に就いた。実は行きたい土地だったので“棚からぼた餅”としか言いようがない。サーファーの聖地で有名な場所だが、ちょうどザトウクジラが見られる期間だったのでホエールウォッチングを楽しんだ。風が強くボートはかなり揺れたが、ダイナミックなジャンプをばっちりと鑑賞出来て大満足。
そして、最終目的地であったはずのシドニーでは、ジェノラン・ケーヴスという世界最古の鍾乳洞へ。鍾乳洞自体にも興味はあったのだが、一番見たかったのはここにある『ストロマトライト』。約37億年前から存在する藍藻というバクテリアの一種が長い年月をかけて何層にも堆積し岩石となったもので、彼らが光合成を行い、酸素を排出したおかげで生命が進化したといっても過言ではない、ロマンのつまったお宝である。が、残念ながら落石のため立入禁止で見られなかった。
落ち込んでいた筆者を元気づけてくれたのが、シドニーで食べた生牡蠣。現地の日本人に、こちらで生の牡蠣を食べても大丈夫でしょうか?と念の為確認したところ、ノロウイルスによる食中毒になったという話はほとんど聞いたことがないという。さらに、シドニーの牡蠣は絶品だよ!とおすすめするので頂いてみたところ…こんなに美味しいなんて!と感激し、一日で少なくとも20個は完食した。
飛行機のトラブルも、時に良い思い出となる。予定が詰まっている場合は臨機応変の対応が求められるが、それも経験値が上がるきっかけになり得る。ああそれにしても、あの生牡蠣が恋しいー。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。