旅は呼んでいる。
vol.16 イギリス 〜ロンドン〜
2018-10-25
「右から二番目の星に向かって、朝までまっすぐ飛ぶんだ」
ロンドンのシンボル、ビッグ・ベンの時計の針に止まって、ピーター・パンがウェンディたちにネバーランドへの道を示すシーン。数あるディズニー映画の中でもお気に入りで、大人になった今でもつい心が踊ってしまう。
ロンドンに惹かれた理由のひとつは、イギリス児童文学が好きだから。“ピーター・パン”の生まれ故郷ともいえるケンジントン公園や、“くまのパディントン”に登場するパディントン駅、“不思議の国のアリス”にゆかりのあるオックスフォード…チューダー朝やヴィクトリア朝時代の古い建築物に囲まれて歩いていると、まるで物語の中に入り込んだような不思議な感覚に陥り、大観覧車ロンドン・アイに乗った際には地上135mからビッグ・ベンを見下ろし、夜のロンドンを飛んでいる気分を味わえた。
見応えのあるミュージアムも多い。ラムセス二世の彫像やナポレオンがエジプトに遠征した際に発見されたロゼッタ・ストーンの現物がある大英博物館はもちろん、首と尻尾の長い巨大な恐竜ディプロドクスや始祖鳥アーケオプテリクスの化石が人気のロンドン自然史博物館、そしてウィリアム・ブレイクやラファエル前派の絵画が揃ったテート・ブリテン。シェイクスピアのハムレットに登場するオフィーリアを題材としたミレイの作品が好きで、間近で見るとより美しく魅入った。
ふらりと立寄った高級百貨店ハロッズは、予想以上に素敵でつい長居してしまった。ライトアップされた外観もファンタスティックな上に、ウィンドウに飾られていたスワロフスキー作品が、無料で見ていいの?というくらいにゴージャス!店内には故ダイアナ妃とドディ・アルファイド氏の銅像があり、あれから何年経つだろうと物思いに耽った。
ロンドンを一言で表すなら『魔法にかけられた街』。アトラクションはないけれど、そこかしこに童話やファンタジー映画のような景色が広がっており、ある意味ネバーランドのようだったなと思う。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

