旅は呼んでいる。
vol.20 キューバ 〜ハバナ〜
2018-12-27
ご機嫌なラテン音楽と共に、スクリーンにはコロニアル様式の建物とその合間を走るたくさんのカラフルなクラシックカーが映し出されるーキューバだ!映画“Fast&Furious8”の舞台が、行って来たばかりで見覚えのあるハバナの街だったので大興奮したのを覚えている。
車について詳しい方ではないが、シボレーやキャデラックはすぐに見つけられた。素人ですらその造形が美しいと思えるのだから、マニアにとっては垂涎ものだろう。日本ではまず乗る機会がないので記念に、とサンダーバードコンバーチブルのタクシーに乗った。シートは硬くあまり乗り心地の良いものではなかったが、運転手はゆっくりと走り街並みを楽しませてくれた。
キューバといえばすぐに連想されるであろう、二人の人物がいる。一人は、文豪アーネスト・ヘミングウェイ。生涯お酒を愛した彼が通っていた“ラ・フロリディータ”というバーが観光名所になっており、ここキューバの港町が舞台の“老人と海”をあらためて読んでから行った。パパ・ヘミングウェイという、その名を冠したダイキリを飲んだところ、アルコール度数が高くかなり苦め!それもそのはず、彼は普通のレシピでは物足らず、砂糖抜きでラムをダブルで注文していたそう。店内は昼間から大賑わいで、各国からの観光客が生演奏のリズムに合わせ陽気に踊っていた。
そして、カストロ前議長と共にキューバ革命の指導者であったエルネスト・ゲバラ。土産屋には、凛々しい顔でベレー帽を被り、髭を生やしたゲバラのグッズが何種類も売られており、街のそこかしこの壁にアーティスティックな彼の似顔絵が描かれていた。自由を求めて戦ったゲバラはこの国の人々にとって英雄であり、今もなお愛されているのだなと感じる光景だった。
先述の映画は禁輸措置が行われて以来、初めてキューバで撮影が行われた記念すべき作品だったそう。アメリカと国交が回復してから三年、街を走るクラシックカーやレトロな街並みはこのままでいてくれればと願う。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。