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コラム

編集部
日系ヘルプライン『 命の電話 』①  1・800・645・5341

2018-12-22

日本語で人と人とのコンタクト

 アメリカで暮らしていて困った時、悩んだ時、孤独な時、または、深刻な問題を抱えた時、「誰かと日本語で話したい」「誰かに日本語で相談したい」と思ったことはないだろうか。ロサンゼルスに拠点を置き、無料の電話相談を行なっている日系ヘルプライン『命の電話』ならば、機械ではない生身の人間のボランティア・リスナーと日本語で話すことができる。

 開設以来、4万件以上の相談を受けている日系ヘルプライン『命の電話』の活動を、ボランティア・リスナーへのインタビューを通して紹介する。


サンタモニカ 親子心中

 1986年に日系ヘルプライン『命の電話』が開設されるきっかけとなったのは、サンタモニカで起きたある事件だった。

 1985年1月、一人の日本人女性が、4歳の長男と生後6ヶ月の長女を道連れにして、サンタモニカの冷たい冬の海で無理心中を図った。現場付近にいた大学生たちが気づいて急いで救助したが、二人の子供は死亡し、母親だけが命をとりとめた。夫の長年の浮気が発覚し、その女性は精神不安定になって入水自殺を図ったという。

 当初、この母親は、二人の人間の命を意図的に奪ったということで第1級殺人の罪に問われ、終身刑、または死刑が求刑される可能性があった。そこでロサンゼルスの日系コミュニティの人々は、この母親をサポートするグループを結成して、情状酌量を求めて署名運動を行った。

 この事件は、アメリカでは第1級殺人だが、日本では「親子心中」といって、母親が自殺する際に「愛する我が子を残してはいけない」という気持ちで子供を道連れに自殺するケースがあった。

 日本人の考えや文化的な背景を考慮して、母親への減刑を求める嘆願書が全米のみならず日本からも多く寄せられ、ロサンゼルスの裁判所に提出された。

 判決は、母親が二人の子供を道連れにして自殺を図った時、母親は心神喪失していたとして、保護観察処分となり、5年間のカウンセリングを受けることとなった。


日系ヘルプライン『命の電話』開設

 当時、この事件は、ロサンゼルスだけでなく、全米でも日本でも大きく報道された。特にアメリカでは、「親子心中」や「日本人の死」に対する考え方が、アメリカ人とは大きく異なることが報じられた。

 この事件がロサンゼルスの日本語を話す日系社会に与えた衝撃は計り知れなかった。このようなことが二度と起こらないようにと、日系ヘルプライン『命の電話』が、社会福祉サービスを行うリトル東京サービスセンター内に、1986年に開設された。

 さまざまな悩みを抱えたコーラー(電話で相談をする人)からの電話は、開設から4万件以上になったが、2006年、リトル東京サービスセンターのファンドが打ち切られることが決定した。日系ヘルプライン『命の電話』専従のスタッフ、キム・アンナさんから、この窮状を聞いた有志らが「『命の電話』支援会」を発足した。そして資金集めに奔走し、『命の電話』が存続できることになった。(本紙12月29日号に掲載予定)

 現在、日系ヘルプライン『命の電話』のボランティア・リスナー(以下、リスナー)は、11人。ロサンゼルス近郊に暮らし、さまざまな職歴を持っている。リスナーたちは、朝、昼、晩と3つのシフトで、コーラーからの電話を受けている。(②に続く)


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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