Los Angelesの顔
No. 79 ハッピー水谷さん 2
2019-02-23
2019年南加県人会協議会会長
不動産業Happy Commercial Real Estate代表
◆南加県人会協議会や県人会の会員の高齢化が進み、会自体の存在が危ぶまれていますが、この点について打開策などありますか。
会長就任に際して取り組みたい課題の一番目に挙げたのが、会員の参加率の向上です。特に各県人会の現会長たちに、もっと活動に参加していただくことを今年の目標としています。
現在の協議会は、年々、会員数が減少し、イベントや会議などに参加するアクティブな会員の数も減少しています。会員の多くの高齢化に伴い、健康上の理由で参加できない、運転ができないという方が増え、退会される方も増えてきています。
一方で、新しく県人会会長に就任して協議会に加入する方は毎年わずかです。
しかも新しい会員は比較的若いので現役で仕事をしている率が高く、活動に参加できる人はどうしても限られています。仕事を最優先するのは仕方ないとしても、夜の会議や休日のイベントにできる限り参加していただければと思います。
具体的な案として、
①各県人会長には、毎月開催される定例会議に、最低、年に一回は参加していただき、会の冒頭で各県人会を紹介する機会を設ける、
②イベントで何らかの仕事を分担していただき参加意識を高める、
③会長が参加できない場合は県人会副会長・役員などの代理出席を推奨する、
④参加を呼び掛ける際は個別のテキストやメールで一人一人に直接コンタクトを取る方法を採り入れる
ーなどです。
何より「参加したい」「参加してもいい」と思っていただくための動機作りとしては、会全体を楽しい雰囲気にすることが重要だと考えています。これまでに一部の出席者による不適切な言動などで新会員が敬遠してしまうような雰囲気になることがあったので、さまざまな機会で新会員を暖かく迎え入れる姿勢を、会員全員で意識することが大切だと考えています。
演芸会では、アメリカで日本文化を学ぶ青少年に奨学金を授与する=2018年、アラタニ劇場 (photo by Hiro Ueda)
◆水谷さんのコミュニティでのボランティア活動への関心はいつ頃から芽生えたのでしょうか。
子供の頃から、母親が視覚障害者の方たちへのボランティア活動をする姿をずっと見てきたので、ある意味、税金を払うのと同じように、社会で生きるものとして当然の行動という感覚です。
だから「ボランティアをしている人間はえらい」とか「ボランティアで評価されたい」とかいう意識は全くありません。
「してあげる」のではなく、むしろ「させていただいている」ことで自分なりに得るものがあると考えています。
◆ロサンゼルスの日系社会と関わり、どのような発見がありましたか。
日系社会に関わるようになって、その前には接点のなかった高齢の日系一世の方々と接する機会が非常に増えました。
人生の大先輩の皆さんの経験や考え方などを直接聞くことで、いろいろなことを学んだり吸収できたりします。また時々、歳をとったらこういう言動をしないように注意しようという反面教師的な言動を見聞きすることもあり、それはそれで将来への戒めとして参考にさせていただいています(笑)。
また、第二次世界大戦中の日系アメリカ人への強制収容や日系人部隊などの歴史を知るにつけ、当地に日系社会を根付かせてきた先人たちの大変な苦労をきちんと理解し、後世にもきちんと伝えていくことが我々の責務でもあると感じています。
また史実だけでなく、その根底にある日本人の考え方…たとえば、謙虚さ、自己犠牲、感謝など心の部分を伝えていくことも、とても重要だと思います。
◆水谷さんは商業専門の不動産ブローカーで、日本からロサンゼルスに進出しようとする企業へのコンサルティングをしていますが、コミュニティでのボランティア活動が、仕事上で役に立つことがあれば、教えてください。
ボランティア活動を通じてビジネスにつながることはほとんどありませんし、むしろ、ボランティア活動の人間関係を利用した営業活動などについては、厳しく自制しています。
ただ、ボランティア活動を通じて気づいたこと、身についたこと、さまざまの年齢層の方々とのコミュニケーションの取り方や人との付き合い方などは、広い意味で仕事にも活かされていると思います。
長年開催されている演芸会では、さまざまな日本の伝統芸能などが披露される=2018年、アラタニ劇場(photo by Hiro Ueda)
演芸会では津軽三味線の佐々木光露三絃会による演奏と鈴木奈々秀さんの日本舞踊のコラボが披露された=2018年、アラタニ劇場(photo by Hiro Ueda)
南加県人会協議会ウェブサイトはこちらから
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※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。