Los Angelesの顔
No. 82 Mayu Cho(長 真由)さん
2019-05-25
俳優
日本人留学生ヘルプデスク担当者@LAPAC(Los Angeles Performing Arts Conservatory)
ーMayuさんは、現在、サンタモニカで上演中の舞台『"12 Angry Men" performed by 12 Impassioned Women』で、日系一世の陪審員11番の役を演じていますが、この劇の発端となったプロジェクト「12,000 Voices: A National Voter Registration Initiative」について教えてください。
「12,000 Voices」(12000voices.com)は昨年、シアタープロデューサーのLauren Class Schneiderが創始者となってニューヨークのブロードウェイからスタートしました。全米各都市、各コミュニティなども含め12000人の女性たちが男女平等も掲げて、一斉に「12 Angry Man Performed by 12 Impassioned Women」の朗読劇を行いました。私はロサンゼルス代表チームとしてこのプロジェクトに参加し、現在は朗読ではなく演劇でも陪審員の一人を演じることになりました。
『“12 Angry Men” performed by 12 Impassioned Women』で陪審員11番を演じるMayu Choさん(右)Photo @ elpandatriste
ー陪審員11番は、オリジナルではユダヤ系の人物だったそうですが、ロサンゼルスでは日系人女性になったそうですね。
メインキャラクターに、アジア人女性の私や南米系女性、アフリカ系アメリカ人女性が加わったことによって、大変ダイバーシティなキャスティングになっております。
1954年に制作された『12 Angry Men(邦題:十二人の怒れる男)』と同じように、各陪審員たちは全く異なる見解で、異なる人種で格差のあるステイタスを持ち、時には人種差別的な発言をする役もいて、それが次第に意見が一つになっていくという構成です。今回のダイバーシティなキャスティングによって、現在のアメリカ人種の縮図のようになり、より一層リアリティーのある作りになったと感じております。
また、私の台詞で次の言葉があります。
"I have always thought that a woman was entitled to have unpopular opinions in this country(アメリカ). This is the reason I
came here. I wanted to have the right to disagree. I wish to make is that in my own country, I am ashamed to say..."
(私はこの国(アメリカ)では女性が不評な意見を持つ権利があるといつも考えてきました。だから私はこの国に来たのです。私は同意しない権利が欲しかった。私の国では恥ずかしいことなんです。)
劇中では日系移民という設定ですが、私自身が日本にいた時に周囲の空気に合わせて何も言えずに悔しい気持ちになった時の感情をそのまま込めています。女性が自由に素直に意見を戦わせる風潮は、まだまだ日本では確立されていないようにも感じております。
日本のみならず、世界中にはまだまだ女性の意見がタブー視されている国が多いので、その女性たちのことを想いながら、祈りや応援を込めてこの役を演じたいと思っております。
ー演出家からのアドバイスや、キャストとの雰囲気はどんな感じでしょうか。
今回の女性演出家Natalia Lazarusはいつも冷静で的確に指示をくれる上に、私が今後アクターとしてアメリカでさらに活動するには何が必要か、どんな努力をしていくべきかなどについても教え導いてくれています。毎回とても気づきがあり感謝してます。
キャストたちとは、リハーサルが時には夜中まで及ぶ日もありましたが、皆疲れを一切見せず、いつも明るく元気で楽しい雰囲気で冗談ばかり言い合ってます。素晴らしい舞台をクリエイトしたいという情熱をもったキャストたちなので、これだけ人数が多いにも関わらず、家族のような一体感があります。本当に恵まれた環境だと感謝の気持ちで一杯です。
ー『"12 Angry Men" ー』の見所は。
キャストが女性のみなので、女性同士が激しく意見を交わし合うのが見物です。女性ということもあり、とても激しい感情的なやりとりが繰り広げられます。時には冷や汗が混じるシーンもあります。
これだけの人数の女性同士が一斉に喧嘩をする舞台は少ないかもしれませんが、意外と笑ってしまうようなコミカルなシーンも多いと思います。
ーこれまでの観客の反応はいかがですか。
反応は日によって全く違います!初日は思いもよらない所でお客様の爆笑が起きたのでびっくりしました。けれど、他の公演日では、ひたすらお客様は真剣に見入っている様子でした。
日本とヨーロッパでの活動が長かった私にとっては、初めてアメリカ人のお客様からの反応をいただくのでいつも緊張してますが、毎公演後に必ずお客様一人一人から笑顔で「すごく素晴らしかった」「あなたの役とても好き!」「楽しかったありがとう!」など感想をいただけるので、本当に嬉しく思います。
巫女舞を舞うMayu Choさん
ーさて、話は変わりますが、長さんは神社巡りが大好きだそうですね。
神社が大好きで数え切れないくらい、日本全国何カ所も巡りました。お勧めはまずは白山比咩神社!私の父の実家が石川県金沢市なのでよく参拝しておりました。
ここは菊理姫様という一生のご神縁を授けてくれる女神様が祀られていて実は私がロサンゼルス行きを決めたきっかけになってくれたご縁の方はこの神社に参拝直後に巡り会ったので、ロサンゼルスに来たのもなにか神様の導きを感じております。
昔の人々の言い伝えで「伊勢へ七度 熊野へ三度参れば人生全てが整う」というのがあり、私もそれに習い、伊勢神宮と熊野大社に欲張ってその回数以上参拝に行きました(笑)
また神社好きが講じて巫女舞を習い始め、その後に、NY国連認定NPO法人の七五三イベントでお声がかかり、アメリカでの初舞台はなんと巫女舞パフォーマンスでした!毎年お声を掛けていただいているので、これからも毎年、神様への感謝の気持ちで巫女舞を奉納させていただこうと思っております。
ー今後の活動予定は。
次は映画やドラマ等の映像方面に力を入れていきます。
夏には、私は日本舞踊アーティストとして芸者オペラシンガーとしてロサンゼルスで活躍されている方と日本舞踊家元とユニットを組み、各イベントでパフォーマンスを行う予定です。
また私が卒業したLAPAC(Los Angeles Performing Arts Conservatory)にて、日本人留学生ヘルプデスクを担当することになりました。ハリウッドを目指して演劇留学をされる生徒さんたちのさまざまな相談を受けたり、手配等をお手伝いいたします。
◆Mayu Choさんインスタグラム
@mayu.cho23
舞台『"12 Angry Men" performed by 12 Impassioned Women』
『“12 Angry Men” performed by 12 Impassioned Women』で演じるMayu Choさん(中央)Photo @ elpandatriste
日時:2019年6月15日までの金曜と土曜 8PM開演
*売切れ日続出!チケットはお早めに!
場所:Promanade Playhouse
1404 3rd Street Promenade, Santa Monica, 90401
チケット:一般$28 シニア/学生 $20
電話:(310) 656 8070
ウェブサイト:www.promenadeplayhouse.com
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。