キム・ホンソンの三味一体
vol117 2.3秒毎に一人の人が...
2019-08-08
バケーションをいただいて家族で日本に行って来ました。日本はやはり食べ物が美味しいですね。何を食べても美味しい。そして意外に食べ物が昔に比べて少し安くなったような気がしました。
ところが先日、こんなに美味しい食べ物が豊富な時代にあっても2.3秒に一人が世界のどこかで飢死しているとの記事を読んでショックを受けました。
国連食糧農業機関というところが出した「世界食料安全保障と栄養状態」というレポートによると、2018年に世界で飢餓に陥った人々は8億2千160万人だったそうです。割合で言うと全世界で9人に1人は飢餓に遭ったということになります。しかし、飢餓の一つ前の段階、すなわち1日3食が食べられない、または食べられても極端に少ない量だったり、非常に質の悪い食料しか食べられなかったりする人々となると、20億人にも上るそうです。割合で言えば、全世界の4人中1人ということになります。
そして、3万7千人もの人々が毎日飢えによって死亡するか、栄養失調による合併症によって死亡するのだそうです。1日は、8万6千400秒ですから、2.3秒ごとに一人ずつ飢えて死んでいっているわけです。
しかし、さらに驚く事実は、実は食べ物が足りなくて人が死んでいっているわけではないという事です。世界の人口は約77億人だとされていますが、世界の食料総生産量は約130億人をまかなえる量にいたるとされています。つまり、世界人口のほぼ2倍の人口を食べさせられるほどの食料を持っていながら、2.3秒ごとに一人の人を死なせている事になります。
この報告によると、その原因は、所得格差と資産の偏在だとしています。世界の富の82%を、世界人口の1%にあたる富裕層が独占している一方で、人口の半分を占める貧しい人々、37億人が手にした富の割合は1%未満だそうです。
イエスは、神の国(天国)がいつ来るのかと人々に聞かれて、「神の国は、見える形では来ない。『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。」と言われました。2.3秒に一人が餓死している時代において半世紀近くものうのうと生きてきている自分自身を恥ずかしくも情けなくも思いました。人間の貪欲とエゴと不正と無関心の罪が一掃され、神の正義と愛と恵みと平和とが何にも勝って行き渡る神の国が、1日も早く私たちの間に実現されることを祈り求めつつ、今日も自分の出来る小さな事を行っていきたいと思わされました。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。