編集部
JSPACC創設25周年記念式典
2019-12-31
Japanese Speaking Parents Association of Children with Challenges
参加すると元気になる会・情報機関として
ホリデーパーティーと創立25周年式典の様子=2019年12月8日
1994年、ロサンゼルスを拠点とした障がいを持つ子供たちの、 日本語を話す親たちが組織するサポートグループ「Japanese Speaking Parents Association of Children with Challenges (JSPACC)」は、ロサンゼルスの非営利福祉団体「リトル東京サービスセンター」の協力の下に創設された。今年で創設25周年を迎え、12月8日には記念式典とホリデーパーティーが開催された。
JSPACCの創設メンバーで初代会長の馬上真理子さんに、創設、25年間の活動、そしてこれからについて聞いた。
ーJSPACCの結成のきっかけは。
ある方の推薦で、カリフォルニア州における発達障がいを持つ本人、または親向けのアドボカシートレーニング(Partners in Policymakingという名前のプログラム) を約8ヶ月にわたり受けることになりました。
プログラム終盤には、サクラメントの州議会において公聴会での話し方やロビー活動のトレーニングもありました。
そして最後の課題は、全てのトレーニング終了後に、自分自身のコミュニティーに戻り、何らかのアドボカシー活動を始めることでした。そこで私は日本人コミュニティにおいて親のサポート団体を始めることにしました。
創設25周年を記念して「Nisei Week祭り」のグランドパレードに参加した=2019年8月11日
ー創立から25周年を迎えた感想は。
目の前の必要なことを必死に続けていて、気付いたら25年も経っていた…というのも正直な感想でもあります。
けれど、よくよく振り返ると多くのことがあり、このような地味な草の根活動がよく四半世紀も続いたものだと、驚いてもいます。
この会を始めたのは確かに私ではありますが、会を発展進歩させてきたのは役員・会員そしてコミュニティのサポーターの方々です。改めて役員会のチームワークの良さ、コミュニティの後援に対して感謝の念に堪えません。
馬上さんとJSPACC役員及び25周年イベント実行委員=ホリデーパーティー、2019年12月8日
ー2009年に開催したJSPACCの15周年記念では、大きな劇場で、子供たちがミュージカル「Miraclecats」を上演した。
「Miraclecats」は、もともと幼児教育専門家であり自閉症教育を学ばれた炭川純代先生が、幼児のために考えておられたミュージカルを発達障がいを持つ子供にもどうだろうと…、このアイディアが発端でした。
同時にその活動をご覧になったあるJSPACCのボランティアの方が「これは素晴らしい!ぜひ大きな舞台で本格的に観客を集めて見せたい!」とおっしゃって、スポンサーの名乗りを上げてくださったことから始まった大プロジェクトでした。
太鼓演奏をするJSPACC/絆太鼓の子供たち
ー現在の課題、そして今後の課題について。
カリフォルニア州における日本語を話すファミリーの人口は他人種から比べると、マイノリティーの中のマイノリティーです。
しかしながら日本人特有の言語、文化を持ち、その違いは障がい者への公的サービスにおいても尊重されるべきことも多々あります。そんな日本人ファミリーの声を州政府のサービスにおいて反映させることも必要だと思います。
幸いなことに近年はアジア系の文化背景を持つ人々への配慮も増え、日本人としては声を挙げやすい状況になってきています。
これからも団体として声を出していくことは必要だと考えています。
リトル東京の全米日系人博物館前で記念写真=2019年8月11日
ーJSPACCの抱負について。
JSPACCは、いつでも変化、変革、改善、進歩と変化し続けていて、ずっと同じところに留まっていることがありません。
個人的にはいくつか胸に持ち考えていることはあります。
会としては、これからも「参加すると元気になる会」として、またコミュニティの方々への情報機関としての役割も大きなものと考えています。
ダンスを披露するJSPACC/WizStarsの子供たち
ー日刊サン読者へのメッセージ。
障がいと聞くと特別なことに思えるかもしれませんが、実際のところ世界の人口のうち4分の1の方々が何らかの障がいやスペシャルニーズを持っています。ですのでそれほど特別なことではないかもしれないと気付かれるかもしれませんね。
障がいがあろうともなかろうとも、どんな人もそれぞれの立場で真摯に生き幸せな人生を送ることができることが大切だと思います。
JSPACCの活動はプライバシーに関わることも多く非常に地味で地道な内容が多いです。外からは見えないこの会の活動にコミュティの皆様からのサポートは本当に有り難いです。どうぞ引き続き、この会とファミリーたちを見守ってくださるように切にお願い致します。
「シブリング会」メンバーたち
障がいを持つ子供たちの兄弟姉妹の会「シブリング会」のメンバーたちも、JSPACCの活動と共に、年々、活動を広げてきた。毎年恒例の「ハロウィンパーティー」は彼らが企画運営し、盛り上げ役としても参加者を笑顔にしている。
そんな「シブリング会」メンバーの成長を、JSPACCメンバーの親御さんはどう感じているのか、インタビューした。
12月8日のホリデーパーティーで、「シブリング会」の子供たちはパフォーマンスを披露しました。
普段から、交流会、ハロウィンパーティーの運営、シブリングたちを対象にしたセミナーなどを通して関わり合いのある子供たちですが、パフォーマンスを披露するのは、このメンバーでは初めてです。
現会長たちが抜群のリーダーシップを発揮して、選曲、ダンスの振り付け、構成、衣装など全てを自分たちで考えました。ダンスの前にはパフォーマンスに向けたミーティングの様子やスタジオでのダンス練習を撮影して、メイキングビデオを自分たちで制作もしました。
練習中に遊んでしまう年齢の低い子に対しては、大きい子たちが、とても上手に本人たちのやる気を出させながら、和気藹々の雰囲気で進めていました。
パーティーがだんだん近づくと、みんなで成功させようという意気込みが、こちらにもヒシヒシと伝わってくるほどで、子供たちは真剣になって、汗をたくさん流しながら、休みも取らずに練習に打ち込んでいました。
本番では、大勢のお客様に「JSPACCにはこんなに元気で力強い『シブリング会』の子供たちがいます!」というところを見ていただき、大きな拍手をいただきました。
普段どうしても障がいを持つ子どもに手をかけてしまい…シブリングは出来て当たり前のことが多いので、ついつい甘えさせてあげられないな…と、こんな思いを胸に抱えています。
シブリングたちが自信を持って物事に取り組むこと、将来に兄弟姉妹の障がいのせいで傷つくことがあっても立ち向かえるように自信をつけさせてあげたい、自分に自信が持てることはすごい大きな力になると、親としてはこのような思いを胸に、同じ境遇の子供たちと過ごせる「シブリング会」の活動に子供を参加させています。
これからも様々な経験を通して、自分らしく成長していって欲しいと心から思っています。
JSPACCについて
会員は障がいを持つ子供たちの親を中心にボランティアや医療福祉教育などの関係者で約200人いる。障がいを取り巻くアメリカの法律やシステム、常識の違いを日本語で学びつつ、精神的にも支え合うことで、各親の自立をサポートしていくことを目的に活動する。
メール info@jspacc.org
ウェブサイト www.jspacc.org/
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。