キム・ホンソンの三味一体
第144回 真実のリーダー
2020-12-04
教会の暦では先週の日曜日でもって新しい年が明けました。これからクリスマスイブまでの期間を待降節といってキリストの誕生を待ち望みながら新しい1年を歩み出すという意味です。最近、近所のカトリック教会からクリスマスキャロルの鐘が鳴る度に「もうすぐ救い主がやって来られますよ」と聞こえて、なんだか子供に戻ったようにわくわくした気持ちになったりします。
聖書には、この教会の鐘のような役割を果たした人物について触れているところがあります。その名前は洗礼者ヨハネで、彼は「もうすぐ救い主が来る。だれでも罪を悔い改め、罪の赦しの洗礼を受ける者はみな救われる」と呼びかけて洗礼を授ける活動をしていました。当時は、祭司を通して、神殿で動物を献げることで罪を清めてもらう方法と、律法学者から罪を犯さない要領を学んでそれを行うことで、人々は心の安らぎを得ようとしていました。しかし、捧げる動物を買うお金すらない人々や、絶対に働いてはいけないと決められていた安息日にも働かざるを得なかったその日暮らしの人々はなどは、祭司や律法学者らによって罪人だと断罪され村八分にされていました。社会の底辺に住む多くの人々は、貧しい中にあっても神様から憐れみをかけられ顧みを受けながら生きているという実感を求めていました。しかし、人々を慰め神の憐れみと恵みを語るべき宗教が逆に罪の温床になっていたのです。
洗礼者ヨハネの呼びかけに、裕福な者や貧しい者、身体の障害や重い皮膚病にかかったため祭司や律法学者から罪人だと断罪され町から追い出されてしまっていた者達なども含めて数え切れないほどの人々が押し寄せました。彼自身が救い主だと思う人が出るほど人々に期待され圧倒的な支持を受けていたヨハネは、自分自身をあくまでこれから来られる救い主を紹介するための者に過ぎないと断言しました。そして、人々に、やがて来られる救い主によって全人類が救われるという希望を持たせたのです。
真実のリーダーというのは、人々に希望を持たせて絶望から立ち上がらせる人ではないでしょうか。アメリカの大統領選挙がずいぶん前に終わりました。執着や未練、うっぷんや妄想といった人間の弱さは1日も早く一掃されて、新しいリーダーによって一人一人が新しい希望を持ってコロナという絶望から立ち上がることができるように祈っています。
毎週日曜日の午後3時からズームでの礼拝があります。ご興味のある方は是非メールでお申し込みください。 khs1126@gmail.com
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。