ピアノの道
vol.52 自分を労る
2021-03-05
労う。労る。…お読みになれますか?私はお恥ずかしならこの記事の為にググって初めてこの漢字を知りました。労う(ねぎらう=尽力に対する感謝)。労る(いたわる=『労わる』とも表記。気を配って大切にする)
カリフォルニア州知事が非常事態宣言をしたのが去年の3月4日でした。皆さん、コロナ禍の規制に伴う色々なチャレンジを乗り越えてきた一年をお過ごしになられたのでは、とお察しいたします。色々ありましたね。
そして今週は東日本大震災から10年を迎える節目でもあります。日本国内では勿論、在外日本人コミュニティーの間でも沢山の追悼行事が行われるようですね。あのニュースを最初に知った時どこで何をしていらしたか、皆さん思い出が色々在られると思います。
私は博士論文を「暗譜の起源」という題目で書き、記憶や記憶術に関するリサーチも随分行いました。色々面白い発見がありましたが、その一つをご紹介。
中世のまだ識字率が低い時代、VIPの結婚式や政治的儀式など歴史的なイベントの記録の方法です。7歳位の子供に見学させ、直後に川に投げ入れたんです。子供は溺れると思ってトラウマになりますよね。そしてそのトラウマの直前の出来事も一生記憶している、という訳です。*
記憶は大きく分けて二つあると考えられるそうです。何度も繰り返す事によって自動的にこなせるようになる記憶。例えば漢字の書き順とか。歩くとか喋るとか当たり前の様に毎日行う行為もそうですよね。もう一つは非日常的なハプニングを物語の様に覚えている記憶。これが例えば東日本大震災の記憶やご自分の結婚式などの記憶を他の記憶から突出させているんですよね。
それではこのパンデミックの一年はどちらの記憶になるのでしょうか?それはルーティンに頼り勝ちなコロナ禍の日常に、非日常性をもたらす工夫をどこまでできるかにかかっていると思います。3.11や非常事態宣言の記念日に、犠牲者の追悼と自分への労いに思いを込めて何か特別な事をしてみませんか?
この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。
*神経生物学者、James L. McGaugh(2003)
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

