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コラム

ピアノの道
vol.53 小事に込める心

2021-03-19

 「私は右手が難しいと質問しているのに、どうして左手の話しばかりされるのですか?」一度レッスンで、先生にイライラを隠せなかったことがあります。「伝説的な天才児だったんだよ」と周りに言われていましたが「天才と紙一重」ということわざを思い出してしまうくらいおっとりと不思議な喋り方をされる方でした。右手に関する私の質問が通じていないのではないかと思うくらい、伴奏の左手のお話しをにこにこと続けられるのです。優しい先生は私の語調にハッと傷ついたようなお顔をされ「でも左手が脱力出来ていれば自然と右手も力が抜けるんだよ...」とおっしゃったんです。その時の開眼は忘れません。

 「大変だ~!」という気持ちになると、体に力が入り、息が止まり、その「大変」な状況に気持ちも視点も近づいて集中します。この状態は瞬発力を出すのには良いのですが、でも長続きしない。前後への気配りや周囲の状況判断を放棄してしまうという点では、この一所懸命の状態は無責任とさえ言えるかもしれません。

 コロナ禍になって色々学ぶことが多いのです。その一つに私は本当にピアノ馬鹿だったのだな、ということがあります。毎日の練習や次の演奏に常に「大変だ~」状態でした。でも人生で初めて一年間旅行も移動もせずに在宅状態を過ごした今、季節の移り変わり、雨の音、鳥の鳴き声、そういう物を愛でる喜びを知りました。今は発酵食品にこだわっています。素材や空気中の微生物が反応して進んでいく発酵の過程を毎日観察していると、見えない「いのち」がそこら中にあることを実感して、自然の壮大さを感じます。

 最近の練習で、音楽に於ける音と音の間の重要性を再確認しています。この状況下、思いがけない芸の肥やしを頂いた気持ちです。

この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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