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コラム

ピアノの道
vol67 急がば回れ

2021-10-15

 子供の為に演奏するのが大好きなのは単に子供好きだからだけではありません。子供というのは本当に面白い質問をしてくれるんです。予測が付かない質問は答えるのにこちらも頭を捻ります。そうして出した解答に私自身、発見があったりするのです。
 
 「どうしてそんなに早く指が動かせられるんですか」
と、親子コンサートで聞かれたことがあります。幼稚園生でした。当たり前と言えば当たり前の質問ですが、その素朴な疑問を直接私にぶつけてくれたのはその子が初めてだったのです。その子は「どうやったら早く指が動かせられるようになるのか」と聞いたのではありません。「どうしてそんなに早く指が動くのか」と聞いたのです。確かに魔法の様です。不思議です。どうして人間の脳や指はそんなに速く正確に動くのでしょう。
 
 私はしばし考えました。私が黙ってしまったので会場がちょっと不安の静寂に包まれました。(そもそも「早い」ってなんだ?)と私は考えていたのです。
 
 「物凄く集中すると時間がゆっくりになるのです。」と私はその時言いました。「だから『早く』指を動かしているつもりはないのです。いつも通り、練習通りに動かしているだけです。でも一生懸命集中してるとそれが早くなっているのです。」その時大人が「お~っ」と言ったのを覚えています。でも、幼稚園生に通じたかな?
 
 今だったらこう言います。「好きな食べ物は何ですか?」とまず聞いて「早く食べるつもりは無かったのに気が付いたら食べ終わっていたことはありませんか?『すぐ食べ終わっちゃったね~』とびっくりされたことは?集中すると時間の感じ方が変わります。だから早く食べたり弾いてるのではなく、その食べ物や音楽に集中しているだけなんですよ。」
 
 むしろ演奏中気を遣うのはどんなに短くても一音一音をそれぞれ愛でて気持ちを込めることです。指任せで気が付いたら終わっていた、では勿体ないので。人生も同じですよね。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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