What’s Up, 神主さん?
第24回 神葬祭<4>
2021-10-29
7月からご紹介してきた神道のお葬式「神葬祭」は今回で最終回となります。神葬祭は、1つのイベントだけでなく、葬儀関連のお祭りすべてを差す言葉です。神道では、人は亡くなると「帰幽〈きゆう〉する」と言います。また、故人の魂は「御霊〈みたま〉」と呼びます。帰幽した御霊は家族の守護神〈まもりがみ〉になると考えます。
前回は火葬場にて行う火葬祭までご紹介しました。火葬場から持ち帰った遺骨は祭壇に安置します。そして、帰幽した日を含めた十日目に十日祭を行います。その後、十日毎に霊祭(御霊祭〈みたままつり〉)を行い(廿日祭、三十日祭……)、五十日祭までの間は、毎日、炊きたてのご飯や温かい食事をお供えします。
五十日目には五十日祭だけでなく、納骨祭、帰家祭〈きかさい〉、合祀祭〈ごうしさい〉を行います。日本の伝統文化である神道では、人は帰幽後、五十日で御霊が守護神になると言われています。そこで、帰幽して五十日目となる御霊を祖先の御霊をお祀りしている祖霊舎(<みたまや>または<それいしゃ>)に迎え入れる合祀祭を行います。
納骨祭は墓前にて行い遺骨を埋葬します。ちなみに神道のお墓は「奥津城〈おくつき〉」と言い、墓石は尖った形になります。また、線香を使用しないので、線香台はありません。
納骨祭を終えた参列者は、お祓いをしてから帰家祭を行う建物(故人の自宅)に入ります。霊爾〈れいじ〉を安置した祭壇前で帰家祭を行い、合祀祭にて霊爾を祖霊舎に移して、一連の神葬祭が一区切りとなります。
五十日目のお祭りは忌み明けとなる節目にもなることから、家族や親戚、親しい友人が参列します。この後、春秋のお彼岸とお盆の御霊祭に加え、百日祭、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭……と続きます。
祖先に敬意を払い、感謝の気持ちを伝える慣習は、仏教伝来以前からある日本の伝統文化です。ぜひ、次世代に伝えていきましょう。
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※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

