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コラム

受喜与幸 ~受ける喜び、与える幸せ~
vol.14 与えつづけると、得るための心配がなくなる1

2022-01-28

 与えるという行為には大事な秘密があります。

 英語に「you get what you pay for」という表現がありますが、直訳すれば、「与えた代価の分を得る」ということになります。この世にはどうやら、与えたものが返ってくるという仕組みがあり、豊かさは与えるほど増え、むさぼるほど減るもののようなのです。

 たとえば、お金について考えてみましょう。お金をたくさん稼ぎたいと思う人は多いでしょうが、たくさん手にしたいと思ったら、たくさん与えたほうがいい。なぜなら、お金は天からの〝借りもの〟で、世の中の役に立つようにその人に授けられたものだからです。

 ですからお金は、自分だけで囲い込まず、他者を助けることによってはじめて価値を発揮します。そのように、よい使い方をする人に、ますますお金が授けられるのです。

 一〇得たうちの五を与えれば、次は二〇与えられる。その二〇をひとり占めしないで半分の一〇を与える。するとこんどは四〇授けられる……。お金や豊かさには、そうした不思議な互換性があって、与えれば与えるほど返ってくるし、より多く与えれば、より多く得られるようになっているのです。

 この考え方を受け入れがたい方々もいらっしゃると思いますが、私は自身の経験からも確信しています。

 そして聖書にも、富のうちの一〇分の一を神様に返しなさいとあります。そうすれば、懐はあふれんばかりに満たされると教えているのです。それが富の本質で、使い方さえ間違えなければ、つまり与えることを惜しまなければ、お金は必ず得られるようになっています。

 研究者の仕事は、薬品を混ぜたり、データを解析したりすることだけではありません。研究を続けていくための資金の調達も、大事な仕事のひとつで、鎌形(かまがた)赤血球症の新薬のプロジェクトを進めていくにあたっても、いつもお金の問題は避けては通れませんでした。しかし、私のもともと楽観的な性格のせいでもあるでしょうが、私はこれまでお金について悩んだことはほとんどありません。

 私はささやかな額ではありますが、毎月、献金や寄付をすることにしています。

 しかし、あるとき、手元にあるお金がいつもより少なくて、今回は寄付をやめようかなと思ったことがありました。でも「いま間に合うだけのお金を残しておけば困らないのだから」と思い直して、やっぱりいつものとおりに献金をしたのです。

 すると、大学の経理の担当者から電話がかかってきて、研究のために補助金が出たというのです。私が献金をした額の何倍もの金額が、その日のうちに入ってきました。もちろん、私の献金は、私の懐から出したものなので、大学の研究費とは別のものなのですが、それでも偶然とは思えない関係を感じたのです。(次回に続く)


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新原豊

新原 豊(にいはら・ゆたか)
1959年東京生まれ。ロマリンダ大学宗教学部卒、同大医学大学院卒。1989年よりUCLAハーバー総合病院にて血液内科と腫瘍内科に所属。ハーバード大学で公衆衛生学修士課程を修了。2005年よりUCLA医学部教授に就任。Emmaus Life Sciences, Inc. 会長兼CEO、EJホールディングス㈱ 取締役会長。Emmaus Life Sciences, Inc. の株式シンボルは、”EMMA” です。




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