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コラム

ピアノの道
vol.82 鍵盤をハグしない訳

2022-06-03

 「Hug the keys(鍵盤をハグする)」という表現はどれだけ一般的なのでしょうか?思いの丈を指にかけ鍵盤を押し込むことです。爪が白くなります。指がプルプル震える位の圧力をかけて「これはヴィブラート!」と言い張るピアニストも居ますが、ピアノの構造上これは不可能です。「Don’t hug the keys(鍵盤をハグするな)!」...学生時代レッスンでよく言われました。なぜでしょうか?

 鍵盤を押すと楽器の中のハンマーが弦を叩くのがピアノです。鳴り続ける弦の震えを妨げないために、ハンマーは叩いた直後、弦から離れます。押す瞬間の速度と重さのみで音色が決まり、発音後は音色は変えられません。だから鍵盤をハグするのはエネルギーと時間の無駄です。しかしそれ以上に一つの音にそこまで固執するのは結局、音楽の流れや全体像を壊す事になるのです。

 先月4月22日のアースデイ(地球の日)に米国最高裁の前で環境運動家のウィン・ブルースさん(50)が焼身自殺をしました。その4年前には環境活動家のデイヴィッド・バックルさん(60)が焼身自殺をしています。世界の動向を変える最後の手段と思い詰め、科学者たちも政府機関や石油産業に投資をする金融機関などに自分の身体を縛り付けるなどのデモ行為で次々と逮捕されています。一方、こういう行動を報道する事は自殺や過激なデモ行為を奨励するという懸念が報道を限定しているという見方もあるようです。

 熱意を、持続と成長を促す生産的な行為へと昇華させるためには、ある程度の達観が必要なのではないか。鍵盤をハグしてはいけないのと同じ理由で、一つの見解に固執すると全体像や究極的には目標その物が見えなくなる危険性があるのではないか。悩みながらこの文章を書きつつ、「テンポ:音楽による環境運動」での活動は続けています。

この記事の英訳はこちらでお読み頂けます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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