JERCの教育相談Q&A
vol.27 どうして日本語でも勉強しなければいけないの?
2022-06-17
現地校で学んでいる多くの日本人の子ども達は、平日は英語で学び、週末は日本語で学ぶという生活を送っています。幼稚園や小学校低学年レベルの日本語での勉強は、何とか付いていけるのですが、小学校4年生くらいから、多くの子どもがアップアップ!現地校でも難しくなる学年ですから、縦書きの文章を見ただけで嫌になって来る子もいます。漢字も熟語が増え、音読み訓読みを駆使して覚えなければなりません。このように、多くの日本人子女は、忙しい日々を過ごしています。
「どうして日本語でも勉強しなければいけないの?」と、お子さんから質問を受けたことはありますか?「僕/私はアメリカの学校で勉強しているのに」と不満そうな顔で訴えます。この時こそ、なぜ日本語でも勉強をしなければならないのかを、話してあげましょう。「日本へ戻った時、日本の学校に付いて行けるように勉強をするのよ」では、納得がいかないでしょう。少し丁寧に、なぜ日本語でも勉強しなければならないかを話してあげることで、勉強の意欲が湧いて来るかもしれません。
① 子どもの母語が日本語の場合、日本語の基礎は身に付けさせたいという親の方針を伝える。
② 母語力を伸ばすことで、第二言語である英語力も伸びていくというメカニズムがある。従って、日本語力を付けておくことも重要。
③ 人はどこの国で暮らしても、自分の国の言葉、文化、習慣を大切にすること。それは自分を根ナシ草にしないためでもある。どこの国で暮らしても、自分は日本人である!という意識が大切である。根ナシ草の子どもは常に心が揺れ、安住の地を探してさまようことがある。
④ 二つの言語をマスターし、言語の背景にある国の成り立ち、文化、習慣が理解できるということは、視野が広がり思考にも多大なよい影響を与える。
⑤ 日本語と英語はまったく異なった言語である。二つの言語の距離は遠く、日本人には習得し難い言語が英語である。語彙の違い、構文の違いそして英語人の思考は、当然日本人とは異なっている。だから日本人として、日本語で物事が深く考えられるようにすることも重要である。
⑥ しっかりしたバイリンガルとして成長した時、アメリカでも日本でも仕事ができ、日米の懸け橋となる重要なポジションを得ることができる。
他にもご家庭でお子さんへの説明が何かできるかもしれません。お子さんが、土曜日の補習授業校へ通うことを嫌がった時、両親の対応の仕方が大切です。困った顔をしたり動揺したりすることなく、以上のような内容を分かり易くお話して下さい。そして毅然たる態度で子どもに接することが望まれます。
小学校までは、両親が常に勉強内容をみてあげることが大切です。テストがある時は特にサポートしてあげましょう。また英語の宿題も日本語の宿題も、必ずチェックしてあげてください。宿題は期日までに提出することが大切です。
子育ては常に子どもとの戦い!異文化の中では、学習も親子二人三脚で励んで参りましょう。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。