JERCの教育相談Q&A
vol.29 第二言語習得のメカニズムとは?
2022-08-26
日本人子女がアメリカの現地校で学んでいく際、学習言語は英語になります。現地の学校は英語学校ではありませんので、授業を受けながら英語力を身に付けていくことになります。子どもの年齢により第二言語習得のために必要なことは何か、そのメカニズムを把握され、正しい教育方法で実践されることをお勧めします。アメリカの教育を受けたことで得た英語力は、お子さんの財産になります。
1: 幼児~小学2年生、3年生
*6歳までは母語をしっかり確立しておく。
母語の基礎が確立していない年齢で、第二言語(英語)を導入すると混乱を起こし中途半端になる。ABC を教える前にあ・い・う・え・お、一、二、三、・・・を教える。
*小学校低学年はことばの基礎作りの年齢なので、母語による学習もしっかりさせる。母語での学力が、英語での学習に移行する。
*母乳語(具体語)から離乳語(抽象語)への移行をしっかりさせておく。
*就学までに本を読む力を日本語でつけておく。教科書や物語の音読をさせる。
*日常会話は遊びの中から覚える年齢なので、近所の子どもとよく遊ばせる。Girl Scout、 Boy Scout、Sport Clubなどに所属させることで、英語に接する機会が増える。
2:小学4年生、5年生~中学1年
*この年齢以上は、バイリンガルで教えた方がよい。頭で理解できることばで説明する。
*現地校の授業も難しくなるので、親なり家庭教師なり、塾での現地校サポート等が必要である。
*4年生ぐらいからWritingが重要になるが、母語である日本語で作文を書けない子どもは、当然、第二言語でも書けない。第二言語(英語)の力は、母語(日本語)の力を越えない!
3:中学2年生から高校生
*この年令は外国語を学問として学ぶこと。日本語で文法をしっかり学ばせること。豊富な単語力も必要になる。
*多く出される宿題に取り組むことで英語力が付くことから、しっかりと対応することが重要。
*高校になると、大学受験をする生徒はSAT(受験のための全国統一テスト)を受けなければならない。そのためにも正しい情報を得、本等を読んで社会的知識を得ておくことが重要である。
*バンドやクラブ活動を行うことは、友人もでき世界を広げるチャンスでもある。
*日本で成績が良かった生徒は、現地校でも良い成績が取れる。母語である日本語で培った言語力が、第二言語である英語での学習に大きな影響を与えるのである。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。